オフィス・店舗の移転・改装における内装工事の見積書の見方

オフィスや店舗の移転・改装を計画されるとき、必ず内装工事会社からの見積書を受け取ると思います。見積書には各工事種別ごとに明細金額が表記されていますが、見慣れない言葉ばかりでよく分からない…ということも多いでしょう。

ここではそんな見積書の内容と見方についてお伝えしていきたいと思います。

必要な内装工事について

必要な内装工事の内容

オフィスや店舗を移転するとき、まずはテナントを借りるところからスタートされると思います。

ただ、まだそこには、がらんとした空間がひとつ。

 

オフィスとして使うのであれば、エントランス・応接室・執務スペース等必要に応じた間仕切り工事、それに合わせて電気工事、弱電工事、空調工事、クロスや床の仕上げ工事も必要になってきます。そして、デスク等のオフィス家具を入れ、社名サインを取り付けて、と様々な内装工事が発生します。

あるいは店舗として使う場合も、店舗スペースとバックヤードスペースを分ける間仕切り工事や、商品を陳列するための造作家具工事、電気工事、空調工事、仕上げ工事などが必要です。

改装工事の場合も同様です。

 

どのようなプランにするかによって、必要な工事はその都度様々です。

では次に、内装工事にはどのような工事があるのかをひとつずつご紹介していきます。

 

各工事種別について

1.仮設工事

多くの場合、見積書の最初に出てくるのがこの仮設工事の項目です。

これは、内装工事を進めていく中で必要な、墨出し、仮設足場や養生、また工事中に発生した廃材の処分費、現場の清掃費などが含まれています。

また、商業施設に入る店舗の工事などでは仮囲いが必要な場合も多いです。仮囲いも、この仮設工事に含まれます。

■墨出し

どこに間仕切りを立てるのか、どこに開口して扉や窓をつけるのかなど、現場では工事をスタートする前に、まずあらかじめその位置を確認していきます。そのしるしは、昔から今も変わらず墨で付けるため”墨出し”と言われています。

■仮設足場

天井高が高い場合、天井を仕上げたり照明を取り付ける作業をするために仮設の足場が必要になります。

 

2.間仕切り工事

各工事種別について

この間仕切りに関しては、LGS壁を立てる時には”軽鉄工事”と表現され、パーティションで間仕切りをする場合には”パーティション工事”と表現される場合もあります。どれも空間を間仕切るための工事のことで、どのような方法を取るのかによって工事の種類も名前も変わります。

■軽鉄工事

軽鉄工事は、軽量鉄骨(LGS:Light Gauge Steel)という骨組みを下地に、プラスターボード(PB)という石膏ボードを貼る工事です。一般的に65×45mmの軽量鉄骨の柱を等間隔に立てていき、両側に12.5mmの厚さの石膏ボードを貼ります。

オフィスや店舗でよく見られる壁は、このLGS壁です。

壁の高さや幅、壁厚の調整などの自由度が高く、仕上げはクロスや塗装など様々な意匠性のある内装材に対応できるのがパーティションとの大きな違いです。

■パーティション工事

パーティション工事は、スチールパーティションとアルミパーティションの2種類があります。

それぞれの特徴はこちらにまとめましたので、ここでは割愛させて頂きます。

 

3.建具工事

建具工事は、いわゆる扉にまつわる工事全般を指します。

扉そのものに加えて、扉の枠、ドアハンドル、ドアチェック(開いたドアを自動的に静かに閉じるための金具)、戸当たり(ドアやドアノブが壁などに当たらないように、壁の手前で止まるように付ける金物)などが必要です。

 

また、木製、ガラス製、スチール製、アルミ製など、建具にも種類があります。

一般的にオフィスや店舗では木製やガラス製のものを入れることが多いですが、防火上の規制がある場合にはスチール製の建具を入れなければならないなど、制限を受ける場合もあります。

さらにこれらの建具を選定する時には、メーカーの既製品を選ぶのか、そこに合わせたものを設計して造作するのか(特注)2つの方法があります。

もちろん価格を抑えるにはメーカーの既製品を選ぶのがベストです。既製品でも、デザイン性の高いものからごくシンプルなものまで種類がたくさんありますので、内装に合わせて選ぶことができます。

さらに、建具に取り付ける鍵にも色んな種類があります。特にセキュリティをかけなければならない所には電気錠を取り付けることも多いですが、電源を電池で確保するのか電線をつなぐのかによっても電気工事の有無が分かれますし、扉のデザインにも制限がある場合があるので、注意が必要です。

 

4.内装工事

内装工事は、内装の仕上げ工事全般を指します。壁や天井のクロス工事や塗装工事、床のタイルカーペット貼り工事などが含まれます。

 

■クロス工事

クロス貼り工事

各メーカーから出ているクロスは、量産クロスと一般クロスの2つに価格帯が分かれています。

[量産クロス]:最も安価なのがこの量産クロスと言われるものです。主に賃貸物件の原状回復などでよく使われます。クロス自体が厚めに出来ているので、壁の下地の影響をあまり受けずに施工できるのが特徴で、リフォームの現場などでも対応できます。デザインは白っぽいものが多く、石目調や織目調など汎用性が高いものが多いです。

[一般クロス]:1,000番クロスとも呼ばれ、オフィスや店舗の内装工事では多くの場合この一般クロスが使われます。各メーカーから数冊のカタログが毎年出されていて、その種類はとても豊富です。アクセントになる色や柄、キャラクターものまで様々。壁をどのように仕上げるのかは、その空間づくりにおいてとても大切です。一言でクロス仕上げと言っても、その選択肢はとてもたくさんあります。

 

■塗装工事

塗装工事

壁や天井は塗装で仕上げることもできます。

塗装はクロスと違って微妙な色味の調整ができたり、時間が経ってからも部分的な補修ができるのが特徴です。クロスの場合、同じ品番でも製造ロットが異なると微妙に色味が異なってしまうため、補修をするとその部分だけ少し色味が違う状態になってしまいます。

ただ、クロスと比較すると少し割高です。

 

■床の仕上げ工事

オフィスの床は、タイルカーペットで仕上げることが最も多いです。タイルカーペットについても、各メーカーから色んな種類が出ていますが、一般的なのは500mm角の正方形のタイルカーペットを貼り合わせていく仕上げです。スタンダードなもので上代¥7,400/㎡、柄や厚みなどによっては価格が上がってきます。

その他、塩ビタイル・磁器タイル・フローリング・人工芝など、空間の用途に合わせて床の仕上げは様々な選択肢がありますが、それぞれ価格帯は様々なので、その都度、検討・調整が必要です。

 

■化粧シート工事

オフィスや店舗の内装工事では、化粧シートは既存建具や家具の上に貼る時に使われることが多いです。

柄ついては各メーカーから木目や石目などたくさんの種類が出ていて、価格はクロスより高価です。

壁面の仕上げにクロスより強度のあるものを使いたいけれど、できるだけ価格を抑えたい時などに、メラミンや腰壁シートの代わりとして使われることもあります。

 

■その他

ガラス工事、タイル工事、サイン工事等、その他にも内装の仕上げ工事はたくさん種類があります。

その都度、どのような工事を計画しているかによって必要な仕上げ工事も変わってきますが、壁を一面だけでもタイル貼りにするなどのアクセントが入るだけでその印象はぐっと良くなります。

ただ、工事種類が増えるほど必要な職人さんの人数も手間・時間もかかるので、当然価格も上がってきます。仕上がりのイメージと予算計画に合わせて調整していく必要があります。

 

5.家具工事

■造作家具工事

造作家具工事

造作家具はイチから設計・デザインして製作する特注家具です。その場所に合わせた仕上げ・素材・寸法で製作することができるのですが、既製品家具と比較すると価格が割高になってしまいます。

ただ、施工方法によっては価格を下げる工夫ができるのも特徴です。内装イメージを左右するところですので、安易に既製品家具に変更してしまわずに、様々な方法を検討してみて頂きたいです。

 

■既製品家具

椅子やテーブル・キャビネットなど、既製品家具は様々なメーカーから様々なデザインのものが流通しています。

価格についても、安価なものから高価なものまで非常に幅広いです。

ただ、家具は空間の印象を左右するのにとても大きな影響力があります。内装にとてもこだわった分、家具にあまりお金をかけられなくなって安価な家具を選ばざるを得なかった、というのではちぐはぐな印象になってしまい、とてももったいないことになります。

内装と家具、トータルでバランスを考えて選定してくださいね。

 

6.設備工事

■電気工事・弱電工事

電気工事

配線、コンセントの設置、照明器具の取り付けなど電気に関する工事全般を指します。

造作家具に取り付ける家具コンや、発光サインを取り付ける場合にはサインにも電気工事が必要になってきます。

また、電話やLANなどの弱電工事も欠かせません。

 

■空調・換気工事

新しく間仕切りをした場合などは、部屋の大きさごとに合わせて空調を整える必要があります。

オフィスや店舗では吹き出し口が4口あり天井に埋め込まれているものがよく見られると思いますが、窓際に箱型で置かれているようなタイプや、小さい部屋ではルームエアコンを取り付けるタイプなど様々あります。

この空調・換気工事は、場合によってはビル指定業者による工事(B工事)が必要な場合もありますので、確認が必要です。

 

■防災工事

防災工事は、感知器やスプリンクラーの設置・移設、誘導灯の設置を含め防災に関する工事全般を指します。

設置基準が細かく設定されているので、法律に則った工事・申請が必要です。

こちらも、ビル指定業者による工事(B工事)が必要な場合もあります。

 

7.諸経費

最もよく分からない、と思われるのがこの諸経費です。

ここには、職人さんの交通費や作業車両のガソリン代・駐車場代、近隣対策、工事を進める中で必要な雑費・消耗品(カッターの刃やビス…)などが含まれます。また、現場管理の人件費も諸経費に入ります。

 

まとめ

以上のように、見積書は工事の大まかな流れに沿って項目が並んでいます。

分かりづらい項目は都度質問し、納得しながら進めて頂ければと思います。

どこを優先し、どこを削るのか、内装会社と相談しながら適切にコスト調整を進めていってください。ただし、やみくもに価格を落としていくのではなく、あくまでも移転・改装の目的・コンセプトは大切にしてくださいね。