オフィス・店舗に名作の椅子を置く◆ミース・ファン・デル・ローエ◆
(写真引用:ヤマトヤ・ワイズカーサ)
オフィスや店舗に欠かせない家具。
家具の中でも、デザイナーや職人によって生み出されたとっておきの”名作の椅子“は、みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
名作の椅子には、それが置いてあるだけで空間をガラッと変えてしまうような力が秘められています。そんな、現代も広く愛され続けている”名作の椅子”の数々。
そんな名作のひとつバロセロナチェアは、生誕80年を超えてなお世界中で愛され続けています。これを手掛けたのは、近代建築の三大巨匠のひとり、ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエです。
Index
Ludwig Mies van der Rohe ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
(1886-1969・ドイツ)
(写真引用:Casa BRUTUS)
ドイツ出身の建築家ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエは、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトと共に、近代建築の三大巨匠のひとりと言われています。
ミースは、建築家としてだけでなく、家具デザイナーとしても数多くの名作を残しました。家具もまた建築の一部であるとして、建物に配置する家具はその位置も含めて設計段階から厳密に計画されたのです。
”Less is More”
”より少ないことは、より豊かなことである”
この名言から分かるように、ミースは、建築や内装と装飾は切り離せないものだった当時のヨーロッパで、装飾性をそぎ落とし、空間とディテールの美しさで新しい建築表現を打ち出しました。
バルセロナチェア
(写真引用:ノルジャパンショールーム)
ミースの哲学が結晶したかたちとも言われるバルセロナチェア。80年以上前に発表された椅子でありながら、今なお人々を惹きつけてやみません。
最大のポイントは、脚部のフレームデザイン。従来、垂直に 支持をしていた脚をスチールで溶接し仕上げることにより、無駄のない美しい曲線が生まれました。
1929年、建築家であるミースはバルセロナ万国博覧会のドイツ館として”バルセロナパビリオン”を完成させました。そして、その当時としては最先端の空間、バルセロナパビリオンに置かれたのがバルセロナチェアでした。
パビリオンでは、開会日にスペイン国王夫妻が式典に訪れる予定で、バルセロナチェアはそのための玉座であったそうです。ただ、実際にはこの椅子は式典には使われず、国王が座ることもなかったのですが、ミースはこの椅子を自身が手がけた数々の名建築で使っています。
その後、第二次世界大戦の直前にミースはアメリカへ亡命し、バルセロナチェアは1948年に米国で復刻され、以来、世界中でロングセラーとなっています。
リプロダクト製品も多く出回っていますが、バルセロナチェアの製造に関しては、ミース自身が認め、当時から同じ製造で作り続けているKnoll社のみが、現在も正規品として製造販売しています。
(参考:Casa BRUTUS 特別編集 2009年5月)
ミースの名建築
ミースは、20世紀のモダニズム建築を代表する建築家です。
彼は、鉄の柱と梁によって建物を支えるという骨組構造(ラーメン構造)を取り入れることで、内部空間を最大限広くし、利用者が必要に応じて自由に使用でき、内部と外部が一体化したユニバーサルスペースという概念を提唱しました。
ここでは、バルセロナチェアが使われたミースの名建築について、いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
■バルセロナパビリオン
(1929年・スペイン バルセロナ)
(写真引用:世界建築巡り)
ナルセロナパビリオンは期間限定で博覧会が終わると解体されてしまいましたが、1986年に復元され、現在はミースの記念館になっています。
ここでは、万博当時のままにバルセロナチェアとバルセロナスツールが置かれています。椅子の高さは、天井高のちょうど4分の1サイズなのだそうです。
■ファンズワース邸
(1951年・アメリカ イリノイ州)
(写真引用:Nomi Ando Studio)
ユニバーサルスペースという概念を表現したものとして有名なのがファンズワース邸。ミースが最後に建てた住宅です。
個人住宅の傑作とも言われ、キッチン・浴室・トイレが家の中心にコアとしてまとめられ、その周りは仕切りのないオープンスペースとなっています。四方はガラスで囲われ、装飾は排除しシンプルで美しいプロポーションの建築です。
ここでは、バルセロナスツールが置かれています。
■シーグラムビル
(1958年)
(写真引用:建築・アート・デザインをめぐる小さな冒険)
ブロンズを纏った鉄骨構造がそのままデザインになった39階建てのシーグラム・ビルは、”Less is More”が体現された高層ビルの芸術作品と言えます。
バルセロナチェアは、シーグラム・ビルのロビーに置かれています。
まとめ
美しい曲線のフレームが交わる4つの角は滑らかにアールを描き、張地に関しては小さな四角の革が丹念に縫い合わされています。そしてもちろん、フォルムやバランスは絶妙。
あまりにも有名なこのバルセロナチェアは、もしかするとミースの名前よりもよく知られているのかもしれません。
改めて、この風格と気品に包まれたバルセロナチェアが、ミースの建築家としての作品の中に置かれた姿を見てみると、建築と家具は切り離すことができないものであり、それも含めて厳密にデザインされたというのが分かるような気がしますね。
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監修者
Hori Keiichiro
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