先日、近代建築の3大巨匠の一人である建築家フランク・ロイド・ライト(1867~1959)のアメリカの建築群8件が世界文化遺産登録が決まったというニュースがありました。
ライトは、ここ日本でも5件の建築を残していますが、中でも有名なのが帝国ホテルですよね。ですが、現在もほぼ完全な姿として残っているのは東京・池袋の自由学園明日館と兵庫県芦屋市のヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)の2件だけ。
せっかくのタイミングなので、巨匠の建築を体感しにヨドコウ迎賓館へ行ってきました!
立地は、阪急・芦屋川駅から北へ徒歩10分程。
坂道を上がって行くと、緩やかな傾斜に沿って階段状に建てられた建物が出迎えてくれます。
こちらのヨドコウ迎賓館は国の重要文化財に指定されている建物です。
ちょうどライトが東京・帝国ホテル建設のために来日していた時に、山邑家(灘の酒造家)の依頼を受けて別邸として設計されました。着工前にライトが帰国したため、実施設計・施工監理は遠藤新氏と南信氏によって行われたそうです。
見どころは、幾何学的な彫刻が施された大谷石、マホガニーの木組み装飾、植物の葉をモチーフとした飾り銅版など。ライト建築の特徴があちらこちらに見ることができます。
それでは、順を追ってご紹介していきます。
まず足を踏み入れるのは車寄せ。天井に凹凸がなくすっきりとした印象で、南側のバルコニーから目に入ってくるのは六甲の山並み・芦屋の街並みです。
そして玄関へ向かいます。
この建物の規模にしては、こじんまりとした玄関の扉。これは、入り口を狭くすることで室内の空間の広さを強調するというライトが好んだ空間構成です。
そして2Fへ上がると応接室。
ここには、大谷石の幾何学の装飾模様が施されていたり、飾り銅版や造作家具、壁面の飾り棚、天井際の通気孔、東西両側の大きな窓際に配置された長椅子など、ライト建築の見どころが凝縮されたような空間が広がります。
次に階段を上がっていくと、窓面から入る柔らかい光が空間を包んでいました。
建物のあちこちに階段があり、山の傾斜に沿って建てられているのを体感できます。
3Fには3室続きの大きな和室空間が配置されています。
実はここ、ライトの設計には無かったのですが、施主の強い要望によって実現された空間なのだそうです。
この和室には、欄間部分などに葉をモチーフにした飾り銅版が装飾されています。飾り銅版には透かしが入っていて、これによって葉の隙間から入る木漏れ日のような雰囲気が演出されているのだそうです。
その他、3Fには広間・南洋間・北洋間などの部屋が配置されて、館内の通路は複雑に入り組んでいます。これは来客用の表廊下と身内用の内廊下が分けられていることが考えられています。
さて、次に向かうのは4Fの食堂。ここは館内でも特に装飾が施された空間です。天井や壁面の装飾デザインや、三角形の小窓などがとても特徴的です。
そして、食堂からは屋上バルコニーに出ることができます。お客さんを招いてガーデンパーティを開催できるくらい広々としています。
どこを見ても、見どころにあふれていて、ライト建築をゆっくり堪能することができます。
こちらの建物は保存修理のために2016年から2年3ヶ月の間、ライト設計を忠実に再現するように工事が行われたそうです。そして、今年2019年2月にリニューアルオープンされました。
歴史的な建築が職人さんの手によって再現され、保存されているおかげで、今こうして巨匠の建築を体感できます。
大阪からも意外とすぐです。
もし興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ訪れてみて下さい!
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