オフィスデザインに適した色の種類を紹介
衣服を選ぶ時に、「今日はシックに見せたいから黒にしよう」「今日は元気を出したいからビタミンカラーを取り入れよう」などと考えたことはありませんか。色がさまざまな効果を持つことは広く知られていますが、オフィスデザインにも色の効果を活用することができます。
この記事では、オフィスデザインの色が与える効果はどのようなものがあるのか、オフィスデザインに色を取り入れる時の注意点などについて解説していきます。色の力を活用して、生産性を高めていきましょう。
Index
オフィスデザインの色が与える効果
オフィスデザインに使われる色が、そこで働く人たちに与える効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
生産性を向上させる
適切に色を配色することで、業務のクオリティやスピードをあげ、生産性を向上させる効果があります。
例えば青や紫といった寒色系の色には集中力や心の落ちつきをもたらす効果があるとされています。また、赤やオレンジといった暖色系の色にはモチベーションを高めたりコミュニケーションを活性化する効果を期待できます。
白一色に統一されたオフィス空間は清潔感やおしゃれな感じをもたらしますが、その一方で他の色が配置されないと味気なく感じられ、業務効率を低下させてしまう恐れがあります。それぞれのオフィスフロアの使い道を踏まえ、後ほど紹介する色配分の原則に従って適切な配色することが必要です。
スペースを広く見せる
適切に色を配色すれば、スペースをより広く見せることができます。
色は、膨張色と収縮色に分類されます。膨張色である白や暖色系の色をオフィスのベースカラーとして配置すると、オフィス空間を開放的に広く見せることが可能です。
また、収縮色である寒色系や黒をオフィスに部分的に取り入れると、オフィスの奥行きを感じさせることができ、引き締まった印象を与えます。
企業ブランディングをつくる
企業によっては、コーポレートカラーが定められています。コーポレートカラーを取り入れたカラーコーディネートをするのも、オフィスは会社の顔であるという観点からもおすすめです。
特に、エントランスや応接室など、来客が目にしたり利用したりすることが多い場所にコーポレートカラーを取り入れることで、より効果的に自社の認知度を高めることができます。
また、例えば水玉をあしらったデザインの社名ロゴを使っている会社が応接室のカーペットに水玉模様を取り入れることでロゴと繋がっているかのようなイメージを持たせた事例もあります。
比較的手軽に取り入れられるため、社内インテリアを使って企業ブランディングを図る例は増加する傾向にあります。
オフィスデザインの色の要素
一般に、部屋の色はベースカラー、メインカラー、アクセントカラーの3色を中心にまとめるとうまくまとまるとされ、以下のような配分が目安だとされています。
【配分の目安】
- ・ベースカラー:70%
- ・メインカラー:25%
- ・アクセントカラー:5%
それぞれ詳しくみていきましょう。
ベースカラー
ベースカラーとは、床や天井、壁など空間の土台となる色のことです。ベースカラーが収縮色の場合、圧迫感があり狭い印象を与えます。一方でベースカラーが膨張色の場合、明るく広い空間に見せることが可能です。
床や天井は面積が大きいので、実際に施工してみると思った以上にインパクトが強いという意見もあります。印象の強い色はアクセントカラー等で取り入れて、ベースカラーはベーシックな色にするのがよいかもしれません。
また、色だけでなく素材でも木の床なのか、リノリウムなのか、カーペットなのかで受ける印象が異なります。ベースカラーを決める時には、どんな素材なのかも意識するとよいでしょう。
メインカラー
メインカラーとは、ブラインドやオフィス家具などの色です。メインカラーに何色を取り入れるかで、部屋の印象が大きく左右されます。
応接室や会議室、休憩室など、部屋の目的に合わせて色の効果を活用したり、コーポレートカラーを取り入れたりするのもおすすめです。
アクセントカラー
アクセントカラーは、パーテーションや小物類など、面積が小さく、すぐに交換できるもので取り入れます。
アクセントカラーの代わりに観葉植物を取り入れることでナチュラルなイメージを醸し出したり、赤やゴールドなどの印象深い色を使って記憶に残りやすい環境を作り出したりすることも可能です。アクセントカラーの面積は小さいですが、大きな力を持っています。
オフィスデザインに適した色の種類
オフィスデザインにおいて、「色」は私たちが思っている以上に重要な役割を果たしていることがわかってきました。では、それぞれの色はどのようなイメージを持っていて、どのように私たちの生活に関わっているのでしょうか。
白色やベージュ
オフィスデザインに適した色の種類として、白色やベージュがあります。
白色は清潔感や純粋さを象徴するカラーで、医療機関などでは定番の色として使用されています。また、白色は膨張色ともいわれ、空間を広く見せる効果もあります。オフィスでも白色の採用で、広々とした印象を与えることが可能です。
狭いオフィスでも白色を採用することで、広々とした印象を与えることができます。白色は他の色との組み合わせもしやすく、オフィス全体のデザインにも柔軟に対応できるようになるでしょう。
一方のベージュは柔らかい印象があり、緊張感を緩めたり、安心感を与えたりする効果があるとされています。ベージュは「ナチュラル」「優しい」「自然」などのプラスイメージを持つ色です。どちらかと言うと目立たず地味なイメージもありますが、上品な落ち着きや大人っぽさがあり、見る人の心に安心感をもたらす効果があります。
紫色や青色
続いてオフィスデザインに適した色として紹介するのは、紫色や青色といった寒色系です。紫色や青色には、集中力を高めたり、気持ちを落ち着かせたりする効果が期待できます。
紫色には、大人っぽい、セクシー、不安、神秘的などのイメージがあります。一言では表現しづらい色であり、ミステリアスなイメージを持つ場合が多いです。疲労回復や興奮を落ち着かせる効果のほかにも、感性を刺激したり個性を感じさせたりする効果が期待されます。
一方の青色は冷静さや知的なイメージを与えるカラーとして知られています。業務スペースに青色を取り入れることで、仕事に集中する環境を作り出すことができるでしょう。また、時間の流れを早く感じられるようになるため、人を待たせるスペースにも向いています。
このようにいい面も多い紫色や青色ですが、多用すると冷たさや圧迫感を与え、落ち着かない空間になりやすい面もあります。メインカラーやアクセントカラーとしての配色が適しているでしょう。
緑色や茶色
緑色や茶色も、オフィスデザインに適した色の種類です。緑色や茶色は自然を連想させるアースカラーなので、心を落ち着かせる効果が期待できます。内装材やオフィス家具の色として選ぶだけではなく、植物を飾ることで緑色や茶色を配置することも可能です。健康や自然に関連する事業を展開するなら、コーポレートカラーに採用するのもよいでしょう。
緑色は自然を思わせるカラーであり、安らぎや癒やしを感じさせる効果を持ちます。休憩スペースやリフレッシュスペースに緑色を取り入れることで、リラックスした環境を作り出すことができます。また、ストレス軽減のためにワークスペースに緑色を採用するのも効果的です。資格の疲労を軽減する効果もあるため、長時間の作業にも適しています。
茶色も、土や木などから連想される自然、温もり、落ち着きなどのイメージを持ちます。彩度は低いけれど暗い印象はさほどなく、どことなく自然の温かみを感じられる色です。緊張を和らげる、温もりを感じさせる、信頼感を与えるなどの効果を得られる色でもあります。
ただし緑色や茶色は、オフィスのベースカラーに適しません。オフィス空間の大部分に緑色や茶色を使ってしまうと落ちつかない雰囲気になるため、メインカラーやアクセントカラーとして配色してください。例外としては木の床がありますが、色よりも素材としての特徴が重視されている例だと言えるでしょう。
オレンジ色や黄色
オレンジ色や黄色もオフィスデザインに適した色です。オレンジ色や黄色はパワーを感じさせるため、モチベーションやコミュニケーションを活性化させやすいです。創造性や柔軟な発想が求められるオフィスに向いています。
オレンジ色は、暖かさ、明るさ、元気、可愛さなどのイメージがあり、明るく活発な印象や暖かい印象を見る人に与えます。人を明るい気持ちにさせたり、親しみやすいイメージを与えたりするなどの効果がある色です。
黄色も明るくエネルギーのある色です。明るさや元気などの他には、幸せや輝きなどの意味があります。一方で注目を集める効果を活用して、危険や注意、警告を伝えるときに使われることも多いです。
明るく元気な印象をつけることのできるオレンジ色や黄色を取り入れすぎると、派手になりがちです。また広い範囲に配色すると目が疲れるため、ベースカラーには向きません。メインカラーやアクセントカラーとして取り入れることをおすすめします。
オフィスデザインの色を選ぶポイント
オフィスデザインに色を取り入れる際の選び方にはどのようなポイントがあるのでしょうか。
コーポレートカラーを取り入れる
コーポレートカラーとは、企業や組織などの団体を象徴する色をいいます。企業理念や特徴を分かりやすく色で表現し、社内外に理解してもらえる効果があります。多くの企業でコーポレートカラーが定められているので、その色をオフィスデザインにも取り入れることで、企業ブランディングに寄与することができます。
また、メインカラーとして取り入れる際にもコーポレートカラーだから、という理由づけがあるので、さほど変に思われることもありません。
色の配分に注意する
色の配分に注意することによって、オフィスデザインの色選びは失敗しづらくなります。先にも紹介した通り、ベースカラー70%:メインカラー25%:アクセントカラー5%の色の配分を守るだけでもオフィスデザインはすっきりとして見えます。
また、ベースカラーには白やベージュなどの定番色を使うこと、目立つ色はアクセントカラーで試験的に取り入れてみることで、「やっぱり思ったのと違う」と感じた時の修正がしやすいです。
エリアごとに色を使い分ける
エリアごとに色を使い分けるのも、オフィスデザインにおいては有効な色の使い方です。
先にも述べたとおり、紫色や青色は冷静に考える場面に、茶色や緑色はリラックスした場面に、オレンジ色や黄色は明るくパワーを必要とする場面に向いています。それぞれの色の特徴を活かし、例えば個人のデスクがあるブースのメインカラーは青色に、休憩室のメインカラーは緑色に、会議室のアクセントカラーにはオレンジや黄色の小物を多く配置したりといったことで、色の持つ力を業務に活かすことができます。
色は具体的にイメージする
オフィスデザインに使う色は、具体的にイメージしましょう。一口に「赤」と言っても、人によってイメージする赤はさまざまです。朱色をイメージする人もいるでしょうし、ワインレッドのような深い赤をイメージする人もいるでしょう。色見本帳を使うなど具体的にイメージできるツールを活用することで、社内でオフィスデザインについて話し合う際のイメージのずれを防ぐことができます。
避けたほうがよい組み合わせに注意する
オフィスデザインには、避けるべきカラーの組み合わせがあります。オフィス空間が狭く見えたり、圧迫感を与えたりと、マイナスの効果が出てくる恐れがあるためです。
オフィスデザインで、避けたほうが良いカラーの組み合わせ例は次のとおりです。
【避けたほうが良いカラーの組み合わせ】
- ・膨張色と収縮色
- ・重さと軽さ
膨張色は白色や赤色などの明るい色、収縮色は黒色や青色などの引き締まって見える色のことです。
空間全体の印象は、面積が広いベースカラーにどちらの色を取り入れるかで変わります。ベースカラーが収縮色の場合、圧迫感があり狭い印象を与えます。その一方、ベースカラーが膨張色の場合、明るく広い空間に見せることが可能です。
また、色によって重く見えたり軽く見えたりします。具体的には、濃い色は重く見えますが、淡い色は軽く見えることが多いです。濃い色は床に近い方に、淡い色は天井に近い方に使うと、天井が高く開放感ある空間かのように見せることができます。
色の効果を最大限活用して、生産性向上に役立てよう
ここまで、オフィスデザインにおける色の効果をみてきました。ベースカラー70%:メインカラー25%:アクセントカラー5%の比率を守ることで失敗しづらくなることや、部屋の目的に合わせて色の効果を活用したり、コーポレートカラーをうまく使うことで企業イメージアップにつなげたりできることがわかりました。
オフィスデザインを考えるのなら色にもこだわって、従業員が働きやすい環境を作り生産性を高めていきましょう。オフィスの内装やレイアウトにお悩みでしたら、株式会社ヴォーエルにご相談ください。
監修者
Hori Keiichiro
COO
お客様のご要望にお応えすることは当たり前と考え、プラスαの提案、施工を重視しています。その為には、十分なヒアリングによってクライアント様と同じ立ち位置になって考えることが一番大事だと考えます。
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