事務所移転でやることリストまとめ!行政手続きや成功のポイントは?
オフィス移転は企業にとって重要なプロジェクトであり、計画不足や手続き漏れが業務に支障をきたす可能性があります。
移転先の選定、工事、搬出・搬入、行政手続きなど、やることは多岐にわたり、時系列に沿った計画的な進行が必要です。
本記事では、移転の6か月前から移転後までのやることリストを時系列別に解説。注意点や効率的に進めるポイントをチェックリスト形式でご紹介し、スムーズな移転実現のサポートをします。
Index
事務所移転でやることリスト6項目【6か月前まで】
オフィス移転の6か月前までに対応すべき項目は以下の6つです。
- ・移転スケジュールの策定
- ・現オフィスの課題の洗い出し
- ・現オフィスの解約手続きの準備
- ・原状回復にかかる費用や条件の確認
- ・新オフィスの物件探し
- ・移転をサポートする業者の選定
これらについて、順に詳しく解説していきます。
①移転スケジュールを立てる
オフィス移転には多くの工程や手続きが伴うため、スムーズな進行には詳細なスケジュールの策定が欠かせません。移転後の営業開始時期を起点に逆算して計画を立て、進捗を管理できる体制を整えましょう。
オフィス移転の際には、様々な工程や手続きが発生します。
そのため、移転後の営業開始予定時期から逆算して移転スケジュールを策定し、プロジェクトの進捗状況を把握することが重要です。
スケジュールを作成する際のポイントは以下の通りです。
- ・移転の目的や達成目標に基づき、優先順位を明確に設定する
- ・各工程や手続きに必要な時間や期限を正確に見積もる
- ・担当者や責任者を各タスクに割り当て、役割を明確にする
- ・定期的に進捗状況を確認し、必要に応じてスケジュールを調整する
移転計画は予期しないトラブルや遅延が発生する可能性があるため、余裕をもったスケジュールを設定することが重要です。
さらに、計画と並行して各工程のToDoリストを作成すると、進行状況を効率的に管理し、タスクの漏れを防ぐことができます。
これにより、オフィス移転を確実かつ円滑に進められるでしょう。
②現在の事務所の課題を探す
オフィス移転は単なる場所の変更ではなく、業務環境や効率を向上させる絶好の機会です。そのため、移転の目的や期待する効果を明確にし、具体的な方針を立てることが重要です。まずは、現在のオフィスの課題を洗い出し、移転によってどのように解決できるかを検討しましょう。
現状の課題を把握するには、経営層の考えや企業全体の課題、従業員の意見を取りまとめることがポイントです。
例えば、以下のような課題が挙げられる場合があります。
- ・駅から遠くアクセスが不便で、社員や取引先、応募者に負担がかかる
- ・スペース不足や不便なレイアウトで、社員の快適さが損なわれている
- ・部署間のコミュニケーションが取りづらい
- ・会議室や休憩スペースが不足している
こうした課題を解決するためには、経営層や従業員へのヒアリングやアンケートの実施も効果的です。これにより、新オフィスでどのような改善が可能かを具体化し、移転計画の指針を明確にすることができます。
③解約予約をする
オフィス移転を進める際には、現在のオフィスの解約予告を適切に行うことが重要です。
賃貸借契約では、解約日の6カ月前までに通知が必要なケースが一般的ですが、契約内容によって異なる場合もあるため、契約書を必ず確認してください。解約予告を怠ると、違約金や賃料の支払いが発生する可能性があるため注意が必要です。
解約予告は、書面で行うことがほとんどです。
特に高額なオフィス賃貸契約では、双方の認識のズレを防ぐためにも書面で手続きすることをおすすめします。解約予告のタイミングは新オフィスの契約や移転全体のスケジュールに影響を及ぼすため、早めに確認し、適切に対応しましょう。
④原状回復の費用や条件を把握しておく
オフィス移転時には、現在のオフィスの原状回復を行うことが一般的です。
原状回復とは、オフィスを入居当初の状態に戻すことを指します。
原状回復費用は、通常、賃貸借契約に基づき借主が負担します。
ただし、契約によっては貸主が負担する場合や、費用を一部相殺できることもあるため、契約書をよく確認し、原状回復に関する条件や費用を明確に把握することが重要です。
さらに、物件によっては、貸主指定の業者に原状回復工事を依頼しなければならない場合があります。そのため、あらかじめ貸主や管理会社に確認し、作業範囲や業者の選定についても確認して、早めに見積もりを取得しておくことが必要です。
⑤移転先の物件を探す
オフィス移転を行う際、移転先のオフィス選定は非常に重要です。
新しいオフィスの環境は、業務効率や従業員のモチベーションに大きく影響を与えます。リモートワークの普及に伴い、移転先に求める条件も変化している可能性があるため、移転の方針を基に慎重に検討することが必要です。
移転先を選ぶ際に確認すべきポイントは以下の通りです。
- ・立地や周辺環境
- ・交通アクセス
- ・賃料や管理費
- ・広さや間取り
- ・セキュリティや防災対策
- ・インターネットや電話回線の整備
立地や周辺環境は、事業戦略や従業員の通勤利便性、希望するエリアの相場を踏まえて選定しましょう。
また、賃料や管理費、敷金、保証金、更新料などのコストも予算内に収めるように注意が必要です。候補が絞られた段階で、実際に現地を訪れて確認することも重要です。
⑥業者を検討する
オフィス移転には、多くの業者に作業を依頼する必要があります。
主に依頼する業者は、不動産業者(移転先物件の仲介)、内装業者(レイアウト設計や工事)、家具・什器・OA機器業者やリース業者(オフィス環境の整備)、引越し業者(荷物移転)、原状回復業者(現オフィスの原状回復)です。
また、ペーパーレス化やセキュリティ対応が必要な場合には、ICT関連の業者にも依頼することがあります。
各作業を個別に業者へ依頼することも可能ですが、調整が煩雑になり、全体スケジュールに影響が出ることも考えられます。
さらに、業者ごとに費用が発生するため、予算を超えるリスクもあります。そのため、オフィス移転に関する企画から設計、施工、什器調達までをワンストップで対応できる業者を選ぶことが、効率的かつ費用面でも有利です。
事務所移転でやることリスト5項目【3か月前まで】
オフィス移転の3か月前までに行うべきことは、以下の5項目です。
- ・事務所のレイアウトを検討する
- ・事務所の内装を検討する
- ・インテリアやインフラの手配を進める
- ・依頼する業者と打ち合わせを行う
- ・様々な工事の手配を進める
それぞれの項目について、順次確認していきましょう。
①事務所のレイアウトを検討する
オフィスレイアウトは職場の雰囲気や機能性に大きく影響するため、移転計画の中でも重要な工程です。移転の目的や新しい働き方に合わせたコンセプトを明確にし、会社の方向性を反映させることが求められます。
レイアウト検討では、オフィスの広さや形状、作業・共有スペースの配置、通路や窓の活用などを考慮し、快適性と機能性を重視します。さらに、企業イメージを高める色やデザイン選定も重要です。専門業者の助言を活用しながら具体的なプランを策定し、予算に応じてコスト調整を行います。
最終的に、移転目的に合った設計かを確認し、家具選定を含めて移転4カ月前までに完了させることが理想です。
②事務所の内装を検討する
オフィス移転では、内装も重要な要素です。
内装はオフィスの印象や使いやすさを左右し、全体の雰囲気に大きな影響を与えるため、慎重な選定が必要です。
内装を決める際は、オフィスの目的やコンセプトに合わせた素材や色の選定、効率や快適性を高める照明・空調設備の配置、企業イメージを引き立てるアートやグリーンの導入がポイントになります。
また、ブランドイメージとの整合性や設備の配置にも配慮しましょう。
内装工事には期間や費用がかかるため、計画的に進めることが重要です。特にこだわりが強い場合はコスト増加や工期延長の可能性もあるため、費用相場やスケジュールの確認が必要になってきます。一貫して設計・工事を依頼できる業者を選ぶことで、効率的に進められます。
③インテリアやインフラの手配を進める
オフィス移転では、レイアウトや内装の決定と並行して、インテリアやインフラの準備を進めることが欠かせません。
具体的には、オフィス家具やOA機器の選定、不要物の処分、電話やインターネット回線の手配、リース品の継続可否の確認などを行う必要があります。
特に通信インフラは業務に直接影響するため、事前に十分な動作確認を実施し、トラブルを未然に防ぐ対応を取ることが重要です。
④依頼する業者と打ち合わせを行う
オフィス移転を成功させるためには、引っ越し業者や内装業者、家具・OA機器業者などとの打ち合わせが不可欠です。各業者の作業範囲や工事期間を確認し、スケジュールに支障が出ないよう調整しましょう。清掃やドリンクサービスの導入、管理会社の提供サービスの確認も並行して進めます。
引っ越し業者を選定する際は、予算や移転規模、時期、依頼内容を事前に整理し、具体的な要件を提示することが重要です。
また、社内外でプロジェクトチームを組み、移転の各工程に専門知識を持つ担当者を配置するとスムーズに進行します。
さらに、移転後のアフターフォロー体制も確認しましょう。
移転後もオフィス環境の改善が必要なため、相談しやすい業者を選ぶことが大切です。
⑤様々な工事の手配を進める
オフィス移転では、現オフィスの原状回復や移転先の内装工事が必要です。レイアウト決定後、工事業者から見積もりを取り工事費用を確定させ、必要な工事申請やOA機器、セキュリティ設備の発注を進めます。
また、解約予告や新オフィス契約、各種手続きは期限に注意し、計画的に進めることが重要です。
事務所移転でやることリスト5項目【1か月前まで】
オフィス移転の1か月前までにやるべきことは、以下の5項目です。
- ・施主検査をする
- ・移転に必要な関係機関への届出をする
- ・取引先への連絡や挨拶を行う
- ・社内周知を丁寧に行う
- ・住所の記載がある書類やHPを変更する
それぞれについて説明します。
①施主検査をする
施主検査とは、内装や設備工事が契約通りに行われているか確認する作業です。
図面通りの施工や家具・OA機器の配置が適切か、入居前に最終確認を行います。日程や場所の事前確認に加え、図面や契約書を活用して基準を明確にし、トラブルを防ぎましょう。また、プロジェクトチーム全体で検査内容を共有し、スムーズな進行を目指します。
②移転に必要な関係機関への届出をする
オフィス移転時には、法務局や税務署、社会保険事務所、労働基準監督署など、関係機関への届出が必要です。各届出には期限があるため、遅れや漏れを防ぐための確認が重要です。
また、必要な書類を事前に用意しておき、スムーズな手続きを心がけましょう。
③取引先への連絡や挨拶を行う
挨拶状を送る際は、まず送り先リストを作成し、デザインや文面を事前に準備しておきましょう。
挨拶状送付後には、電話やメールでのフォローアップも重要です。
送り先は取引先だけでなく、金融機関や会計士事務所、弁護士事務所、リース会社(コピー機や電話機など)、加盟団体、定期購読の雑誌や消耗品の購入先なども含めて対応します。また、メールの署名欄にオフィス移転のお知らせを記載することで、早めに移転情報を広めることができ、スムーズな告知が可能になります。
④社内周知を丁寧に行う
オフィス移転を円滑に進めるためには、社内での周知が不可欠です。移転目的や課題を明確にするために社内説明会を開き、各部署に担当者を割り当てて情報共有を行いましょう。
メールや掲示板、朝礼を活用し、移転の理由、スケジュール、住所や地図、設備、業務変更、Q&Aなどを周知します。従業員の理解を得るために、準備タスクやタイムスケジュール、作業分担リスト、施設内規則などをマニュアルとして配布し、早期の告知を心掛けましょう。
⑤住所の記載がある書類やHPを変更する
オフィス移転後、住所変更が必要な書類や備品を事前に洗い出しておくことが重要です。
名刺、封筒、社員証、伝票、契約書などを含む変更リストを作成し、移転前に既存在庫を使い切るか廃棄しましょう。
ウェブサイトやメール署名の変更も忘れずに行い、住所変更のテンプレートを用意しておくとスムーズです。
移転1〜2ヶ月前にはウェブサイトに告知を掲載し、移転後は速やかに新住所や電話番号を更新できるように準備しておきます。
事務所移転でやることリスト3項目【当日まで】
オフィス移転の当日までに実施すべきことは、主に以下の3点です。
- ・搬出・搬入時に立ち会う
- ・原状回復工事を行い解約日までに物件を引き渡す
- ・HPで移転のお知らせを行う
それぞれの詳細について確認しましょう。
①搬出・搬入に立ち会う
オフィス移転当日は、トラブルを避けるために現オフィスと新オフィスで搬出・搬入に立ち会うことが重要です。
立ち会う前に、以下の点を確認しましょう。
- ・搬出・搬入の日時と場所
- ・搬出・搬入する荷物や設備の内容
- ・荷物や設備の状態や数量
- ・設備の配置や取り扱い方法
荷物に傷がないか、破損がないかを確認し、発見した場合は養生前に写真を撮ることが大切です。
②原状回復工事を行い解約日までに物件を引き渡す
原状回復工事は約1ヶ月を目安に進め、業者には進捗報告を定期的に求めておきましょう。引き渡し時には、敷金や保証金の返還も確認が必要です。
物件引き渡しの際には、以下の点をチェックしましょう。
- ・引き渡しの日時や場所を貸主と確認
- ・物件の状態や清掃の確認、必要な修復を依頼
- ・メーターの検針を行い、使用料を精算
- ・鍵やカード、アクセス権の返却
- ・敷金や保証金の返還額を確認し、領収書を受け取る
引っ越し作業が完了した後は、原状回復工事を行い、解約日までに物件を引き渡します。
③HPで移転のお知らせを行う
オフィス移転のお知らせをホームページに掲載することで、取引先や関係各所への連絡がスムーズに行えます。
新しい住所や電話番号に変更する準備を整え、移転1〜2ヶ月前から告知を開始しましょう。移転の理由やメリットを伝えることで、企業のイメージ向上にも繋がります。
移転後は速やかに新しい情報を反映させることが重要です。
事務所移転でやることリスト2項目【その後】
オフィス移転後に行うべきことは、次の2点です。
- ・口座やクレジットカード情報を変更する
- ・関係省庁に届出を提出する
①銀行口座や法人契約のクレジットカード情報を変更する
オフィス移転に伴い住所が変更されるため、銀行口座や法人契約のクレジットカードの情報も更新が必要です。
これにより、支払い・受け取りの手続きをスムーズに進められます。
銀行口座は窓口で変更可能で、クレジットカードはWEB上で必要書類を取り寄せて手続きできます。
手順や書類は金融機関やカード会社ごとに異なるので、事前に確認しておくことをお勧めします。
②関係機関への届出の提出を忘れずに行う
オフィス移転後、法令遵守のため税金や社会保険の手続きを滞りなく行うために、関係省庁への届出を忘れずに提出しましょう。
必要な書類は以下の通りですので、移転後は速やかに提出することをお勧めします。
事務所移転で重要な行政手続き
会社移転に伴い届出が必要な書類と届出先を紹介します。会社移転の際に必要な主な届け出の届け先・種類・提出期限は以下のとおりです。
変更がある可能性もございますので、提出書類や提出期限などの詳細は各関係官庁に確認のうえ対応をお願いします。
オフィス移転に伴う行政手続き一覧
・本表は、一般的な行政手続きの概要を示すものであり、実際の手続きや提出期限は、企業の形態や地域、移転規模などによって異なることがあります。
・記載されている情報は作成時点のものであり、法令の改正などにより変更される可能性があります。最新の情報については、各管轄機関に直接確認してください。
事務所移転のメリットとデメリット
オフィス移転を社員の働きやすさ向上に繋げるために、メリットとデメリットを把握しておくことが重要です。
事務所移転のメリット
事務所移転には、企業に多くのメリットがあります。
まず、社員のモチベーション向上です。新しいオフィスで働く環境が改善され、仕事の効率が高まります。
また、便利な立地や高級なビルへの移転は、社員のモチベーションを高めることができます。
次に、ブランディング強化です。新しいオフィスのデザインや立地は、企業のイメージを向上させ、信頼性やステータスを高めます。
さらに、柔軟な働き方を希望する求職者にアピールでき、優秀な人材の確保ができるでしょう。
最後に、社員の定着率向上です。快適なオフィス環境はコミュニケーションを促進し、社員満足度や離職率の低下に寄与します。
事務所移転のデメリット
事務所移転には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
まず、高額な移転費用がかかり、特に従業員数が多い企業では負担が大きく、現状回復費用や内装工事費も別途必要です。
また、移転準備には時間と労力がかかり、新オフィス選定や解約手続き、各種届出などが長期間にわたる作業を要します。
さらに、行政機関の手続きも複雑で期限厳守が求められます。これらを最小限に抑えるためには、社員全員が目的意識を持ち、6ヶ月前には準備を開始することが重要です。
事務所移転を成功させる3つのポイント
オフィス移転を円滑に進めるための重要なポイントを説明します。
①オフィス移転プロジェクトチームの担当者を決める
オフィス移転は、決定から完了まで時間を要する大規模なプロジェクトであり、引っ越し業者や内装工事業者、原状回復工事業者など、複数の業者と連携する必要があります。
スムーズに進めるためには、担当者を専任し、窓口を一本化することが重要です。
②早めに手続きを進める
旧オフィスの解約通知や新オフィスの契約、各業者への発注、必要な手続きは、計画的に進めることが求められます。
手続きには期限が設けられている場合もあるため、遅れないように早期に準備を始めることが大切です。
③外部コンサルへアウトソーシングする
オフィス移転には多くの雑務が伴い、社内の担当者だけでは対応しきれないことがあります。そのため、外部コンサルタントにアウトソーシングすることを検討しましょう。
専門家からアドバイスを受けながら進めることで、移転作業がスムーズに進行します。
また、手続きや業者手配を代行してもらうことで、担当者の負担を軽減し、漏れや無駄を減らすことができます。
アウトソーシング先としては、オフィス移転専門のコンサル会社、不動産会社、設計・内装会社などがあり、それぞれの得意分野を確認して依頼先を選ぶことが重要です。
まとめ
事務所移転は物件選定、レイアウト、工事、家具手配、行政手続き、引っ越しなど多岐にわたる作業が必要なプロジェクトです。
移転の目的を明確にし、1年前から計画的に準備を進めることが重要です。
約20項目のタスクを担当者で分担し、スケジュールやチェックリストを活用して進めましょう。
オフィス移転業者と提携することで、専門的なノウハウを活用し、負担を軽減できます。移転は企業イメージやブランディングにも影響するため、計画的に進めることが求められます。
本記事のチェックリストを参考に、抜け漏れなく進めましょう。