オフィス設計の流れや成功させるポイントを徹底解説
福利厚生のため、働き方改革のため、自社のイメージアップのため、オフィス移転を検討している企業は多いのではないでしょうか。しかし、せっかく移転したにも関わらず、思ったほど従業員の満足度が上がらない、快適に感じられないという声も聞かれます。
この記事では、オフィス設計の流れや成功のためのポイントを徹底解説します。新オフィスへの移転を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
Index
オフィス移転を成功させるポイント
オフィス移転を成功させるためにはどのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。ここでは5つのポイントをご紹介します。
移転の目標を設定する
まずは、移転の目標を設定することです。何らかの問題解決のためにオフィスの移転を検討することがほとんどですが、移転の目標を明確にしないまま、何となく移転してしまうと、費用も手間も時間もかかったのに、問題解決がなされない、従業員からの満足度が上がらない、ということになりかねません。
なぜオフィスを移転したいのかを明確にし、どのような環境を新しいオフィスに求めるのか具体的にしておきましょう。
移転の流れを把握する
次に、移転の流れを把握しておくことです。
オフィスの移転には、やるべきことがたくさんあります。移転を希望する時期から逆算して、いつの時期に何をするのか流れを把握しておくことで、スムーズに移転作業を進めることができます。
関連記事:オフィス移転の流れについて
条件に合った移転先を選ぶ
また、条件に合った移転先を選ぶことも重要です。
会社の規模が大きくなり今のオフィスでは手狭になった、リモートワークが増えて出社する人数が減ったのでフリーアドレスにしてオフィスを縮小したい、公共交通機関を利用しての営業回りが多いので今よりも交通の便のいいところに移りたいなど、移転を希望する事情はそれぞれ違います。
移転先に求める条件をきちんと満たした物件に移転しないと、またすぐに移転を検討することになったり、社員からの不満が吹き出したりということになりかねません。中には、移転を検討するにあたり、従業員に「現在のオフィスに対する不満」「新しいオフィスに期待すること」などをアンケート調査する企業もあります。移転先のオフィスに求める条件を洗い出し、優先順位をつけておくことでよりよい移転先オフィスを選ぶことができるでしょう。
条件に合った引っ越し業者を選ぶ
条件に合った引越し業者を選ぶことも大切です。
オフィスの移転は1日で全てが完了することは稀です。また、会社としての営業は続けながら移転を進めるケースがほとんどです。業務進行上支障がなく、こちらのスケジュールに合わせてくれる業者を選びましょう。
余裕をもったスケジュールを組む
予定外のトラブルが起きても対処できるよう、余裕を持ってスケジュールを組んでおくことも必要です。
特に移転先の物件探しは、思うように物件が見つからず時間だけがどんどん過ぎていき、その後のスケジュールが圧迫されるということが起きがちです。ある程度スケジュールには余裕を持ち、新しいオフィス物件に求める条件が定まったら早めに物件探しを始めましょう。
オフィス移転の流れ
オフィス移転はどのような流れで進むのでしょうか。
①移転計画の立案
まずはオフィス移転チームを立ち上げ、移転計画を立案しましょう。
契約条件にもよりますが、オフィス物件は6ヶ月前に退去通告をしなければならないことがほとんどです。ある程度計画を練って、退去予定日の6ヶ月前に退去通告をするには、退去予定日から逆算して1年前には移転計画の立案に着手するのがよいでしょう。
移転計画を立てる際には、そもそも移転を検討することになったきっかけは何なのか、移転の目的は何なのかを明確にしましょう。その上で調べておきたいことや実際に必要となる作業を書き出し、どれくらいのコストがかかるかも含めてリスト化しておきましょう。
②移転先の選定
続いて、移転先の選定です。オフィスを専門にしている不動産会社も多くありますので、そういった会社に希望する条件を伝えて物件をピックアップしてもらいましょう。その際、どの程度なら条件を譲歩できるのか、いつまでなら待てるのかを伝えておくことで、より物件の紹介を受けやすくなります。
希望する条件以外にも、近隣に駐車場はあるか、スペースには十分な余裕があるか、業務に欠かせない設備を設置できるかなども併せて検討することをおすすめします。
③賃貸借契約の締結
条件が合う物件が見つかったら、可能な限り下見や内見に行きましょう。駅からの道などを実際に従業員が通勤する時間に見てみることで、具体的なイメージがわいてきます。
内見が可能な場合には、実際に使えるスペースはどれくらいなのか、天井高はどれくらいなのか、窓の大きさ、電気などの設備に加え、エレベーターの台数や混雑具合、休憩所などの共有スペースの利用ルールについても確認しておきましょう。
下見・内見の結果問題がなければ物件のオーナーと賃貸契約を交わします。契約前に、賃料や共益費、更新料、礼金、賃料免除期間の有無、水道光熱費、清掃費などの費用について確認しておきましょう。契約書の内容を隅々までチェックしておくことが、入居後のトラブル防止になります。疑問に思う点があれば、必ず契約前に確認し、クリアにしておきましょう。契約後の確認漏れに気づいても、対応してもらえないこともあります。
④内装工事
物件の契約が決まったら、レイアウトを決め、内装工事をします。
近年は、オフィスを自社イメージアップのためのツールと考える企業も少なくありません。オフィスのレイアウト・内装を一手に引き受けるデザイン事務所に依頼すると、自社イメージに合わせた統一感のあるレイアウトが期待できます。また、オフィスのレイアウト・内装の施工実績があるため、オフィス移転チームのメンバーでは気づけなかった視点からの提案を受けることもあります。
⑤社内用マニュアルの作成
移転計画がある程度定まったら、社内用マニュアルを作成しましょう。
なぜ移転をするのか、移転するメリット、大まかな移転スケジュールなどを記載し、全社で情報共有を図ることにより、社内からの協力も得やすくなります。特にネットワーク環境はいつから使えるのか、業務に必要な機器の移転スケジュールはどのようになっているのかなどは丁寧に説明し、業務に支障が出ないよう注意する必要があります。
移転するのも、移転先で仕事をするのも従業員ですから、きちんと理解してもらえるような説明を心がけ、全社一丸となって気持ちよく移転できるようにしましょう。
⑥移転準備・当日作業
実際にものを運ぶのは引越し業者になるため、従業員が行うのは梱包準備・搬出準備となります。具体的に何をすべきなのかや、どのようなスケジュールで動くのかを共有しておきましょう。
同時に、取引先へも通知が必要です。移転計画を進めるのと同時に、挨拶状の手配も進めておきましょう。
さらに、移転後は現オフィスの原状回復工事が必要です。搬出が全て終わった時点から着工できるよう、早い段階から工事業者の選定や打ち合わせを行っておきましょう。
⑦各種公的手続き
オフィスの移転には、各種公的手続きも必要です。
オフィスの移転前に必要な公的手続きには以下のようなものがあります。
【オフィス移転前】
- ・電話回線申し込み
- ・郵便物届出変更届
- ・車庫証明
また、オフィス移転当日に必要な公的手続きには次のようなものがあります。
【オフィス移転当日】
- ・労働保険名称・所在地等変更届
- ・適用事業報告
- ・安全管理者選任報告(労働基準監督署)
- ・防火管理者選任届(消防署)
- ・事業年度、納税地、その他の変更異動届出書、本店移転登記申請書(税務署)
さらに、オフィスの移転後1日~10日までに必要な公的手続きには次のようなものがあります。
【移転後1日~10日】
- ・適用事業所所在地・名称変更(訂正)届(移転後5日以内)
- ・雇用保険事業主事業所各種変更届(移転後10日以内)
- ・事業開始等申告書
- ・事業主事業所各種変更届
オフィスの移転後2週間~1カ月以内に必要な公的手続きには以下のものがあります。
【移転後2週間~1カ月以内】
- ・本店移転登記申請書(移転後2週間以内)
- ・支店移転登記申請書(移転後3週間以内)
- ・ 給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書(移転後1カ月以内)
このように、必要な手続きはたくさんありますので、リスト化して抜けのないように注意しましょう。
オフィスの規模ごとの移転スケジュール
オフィスの移転にかかる期間は、オフィスの規模によっても異なります。ここでは、オフィスの規模ごとの移転スケジュールを見ていきましょう。
大規模オフィス(3,000坪ほど)の場合
3,000坪ほどの大規模オフィスでは、各タスクに置ける業務量や検討項目も多くなるため、2年くらいの期間をかけて移転するケースが多いです。大まかな流れは以下の通りです。
時期 | 2年前 | 1年半前 | 1年前 | 半年前 | 3ヶ月前 | 移転月 |
作業 | ・移転計画立案
・移転先の選定・分析 ・各業者の選定 |
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・移転先オフィスの賃貸借契約
・移転に関連する各種専門業者への依頼 ・内装やレイアウトの決定 |
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・作業詳細スケジュール確定
・内装工事 ・オフィス家具やインフラ整備 ・新オフィス運用ルール策定 |
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・社員や取引先への周知
・各種手続き ・入居前の施主検査 |
中規模オフィス(500坪ほど)の場合
500坪程度の中規模オフィスの場合、1年半程度の余裕を持ってスケジュールを組むのがおすすめです。
時期 | 1年半前 | 1年前 | 半年前 | 4ヶ月前 | 1ヶ月前 | 移転月 |
作業 | ・移転計画立案
・移転先の選定・分析 ・各業者の選定 |
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・移転先オフィスの賃貸借契約 ・移転に関連する各種専門業者への依頼 ・内装やレイアウトの決定 |
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・作業詳細スケジュール確定
・内装工事 ・オフィス家具やインフラ整備 ・新オフィス運用ルール策定 |
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・社員や取引先への周知
・各種手続き ・入居前の施主検査 |
小規模オフィス(70坪ほど)の場合
70坪ほどの小規模オフィスであれば、10ヶ月程度でも移転準備ができそうです。しかし、10ヶ月は全て順調に行った場合の期間になりますので、やはり1年くらい期間を見た方が安心です。以下、10ヶ月で移転準備をするためのスケジュール例を示しておきます。
時期 | 10ヶ月前 | 6ヶ月前 | 3ヶ月前 | 1ヶ月前 | 移転月 |
作業 | ・移転計画立案
・移転先の選定・分析 ・各業者の選定 |
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・移転先オフィスの賃貸借契約
・移転に関連する各種専門業者への依頼 ・内装やレイアウトの決定 |
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・作業詳細スケジュール確定
・内装工事 ・オフィス家具やインフラ整備 ・新オフィス運用ルール策定 ・社員や取引先への周知 ・各種手続き ・入居前の施主検査 |
オフィス移転にかかる費用
オフィス移転にかかる費用には、どのようなものがあるでしょうか。
新オフィスの契約にかかる費用
新しいオフィスを契約するのにかかる費用として、以下のものが挙げられます。
【新オフィスの契約にかかる費用】
- ・保証金
- ・仲介手数料
- ・前払い分の賃料
- ・火災保険
- ・委託料
保証金は法人契約の場合、賃料の6ヶ月分から12ヶ月分とされています。仲介手数料は、賃料の1ヶ月分が上限となっています。前払いの賃料は、物件によっても異なりますが、1.5ヶ月分から4ヶ月分かかります。
契約時にかなりの金額が出ていくことになりますので、それを見越してオフィス探しをする必要があります。
新オフィスの移転にかかる費用
新オフィスへの移転費用は、従業員1人あたり3万円程度だと言われています。また、移転先が遠方であれば費用はあがりますし、運ぶ什器やオフィス機器が多ければその分費用はあがります。
旧オフィスの退去にかかる費用
忘れてはならないのが、旧オフィスの退去にかかる費用です。
旧オフィスの原状復帰をする必要がありますし、不要となったものは産業廃棄物として適切に処分する必要があります。オフィス移転を機にオフィス家具を買い替えたりすることもありますが、新しいものを購入する費用だけでなく、古いものを処分するのにも費用がかかることに注意しましょう。
オフィス移転の注意点
オフィスを移転する際に、気を付けるべき点には何があるでしょうか。
解約予告は撤回できない
旧オフィスの解約予告は、一度してしまったら撤回することができません。
オフィス解約予告をしたが、いいオフィスが見つからないのでやはりそのまま旧オフィスを使い続けたいと思っても、次の借り手が決まっていればそちらが優先されます。
新オフィスに求める条件に当てはまる物件がどれくらいあるのかなど、事前にリサーチをする必要がありそうです。
入居審査に必ず通るとは限らない
また、新オフィスによさそうな物件を見つけても、必ず入居審査に通るとは限りません。
審査基準は各不動産管理会社が定めていることが多く、物件によって若干異なりますが、審査に通らない理由としては以下のことが考えられます。
【審査に通らない理由】
- ・資本金が少ない
- ・債務超過である
- ・役員報酬が極端に少ない
- ・業種が不明またはオフィス利用に不適切
- ・開業してから日が浅い(個人・法人ともに)
「本店移転登記」はかかる労力が大きい
企業の本店住所が移動した際には、2週間以内に法務局に本店移転登記を提出しなければなりません。旧オフィスの住所と新オフィスの住所が同じ法務局の管轄か別の法務局の管轄かで、手続きが異なるので、事前に管轄の法務局がどこなのか確認しておきましょう。
本店移転にかかる費用は同じ法務局の管轄内の場合で3万円、別の法務局の管轄の場合で6万円です。また、本店移転登記申請書をはじめ、さまざまな書類を提出する必要があります。
書類を集めたり、法務局に出向いたりと行った本店移転登記にかかる労力が意外に大きいことにも注意が必要です。
オフィス移転に活用できる補助金・優遇措置
意外に費用がかかるオフィスの移転に、活用できる補助金や優遇措置はないのでしょうか。ここでは2つの制度をご紹介します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、要件を満たした中小企業・小規模事業者向けの補助金制度で、生産性向上を目的としているケースが多いです。給付された補助金は、生産プロセス改善や設備投資の補助に使うことができます。
地方拠点強化税制
事務所・研究所・研修所などの業務施設を整備する場合に、整備事業の計画について知事からの認定を受けた事業者が、税制面で優遇措置を受けられる制度です。
オフィスの移転は計画的に
オフィスの移転には、オフィスの規模によって1年から2年もの準備期間が必要であること、移転に伴いさまざまな書類上での手続きが必要となることがわかりました。また、オフィス移転をスムーズに進めるためには、事前にきちんと流れを把握し、いつ何をすべきなのかを明確にしておく必要があること、適切な時期に社内マニュアルを作り社員の協力を得ることが不可欠であることがわかりました。
せっかく移転するのですから、計画的に準備をし内装やレイアウトにもこだわることで、従業員の満足度を高め、生産性をあげていきましょう。オフィスの内装やレイアウトにお悩みでしたら、株式会社ヴォーエルご相談ください。きっとご満足いただける提案ができるはずです。