働き方改革を実現するための多様な働き方とワークスペース

2019年4月より働き方改革関連法案の一部が施行されました。

これに伴って私たちの”働き方”そのものが変わりつつあり、ワークスペースを改めて見直すきっかけになっている企業もあるでしょう。

柔軟な働き方に対応できる”シェアオフィス”、”コワーキングスペース”など、オフィスのカタチも多様化している中、ここでは、具体的にどのような働き方があるのか、またその働き方を実現していくためにはどのようなワークスペースが求められているのかを探ってみたいと思います。

 

大きく変わってきた働き方

大きく変わってきた働き方

1947年に労働基準法が制定されてから、約70年間。

社会情勢と共に、日本の働き方も大きく変わってきました。

 

1986年には男女雇用機会均等法が施行され、女性総合職がこれを機に誕生しました。

そして1988年の改正労働基準法では、現在の働き方につながる大きな法改正が実施され、「労働時間が1日8時間、週40時間」・週休2日制が定着。

その後、バブル崩壊の煽りを受け、1993~2005年は就職氷河期と言われる時代を迎え、2007年には非正規社員や共働き世帯の増加を背景に、ワークライフバランスの取れた社会の在り方を定めようと「ワークライフバランス憲章」が策定されました。

2008年のリーマンショックでは、世界規模の経済危機が発生し、日本の景気も後退。

そして2014年、過労死等防止対策推進法が施行されました。精神的負担も含めた過剰業務による死亡について、初めて定義された法律です。労働環境に対して、企業の意識を強めるきっかけとなりました。

 

そして2019年。

働き方改革関連法案の一部が施行されました。

働き方改革とは、厚生労働省の定義によると、一億総活躍社会を実現するための改革として、働く人々が個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするため改革です。テレワークやサテライトオフィスの実現など、働き方の選択肢を積極的に増やそうとしている企業も増えてきています。

 

 

今求められているワークスタイル / テレワーク

今求められているワークスタイル / テレワーク

働き方改革を受け、政府が積極的に実現するべき国の目標として位置づけているのがテレワークです。

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。

働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つが挙げられます。働きやすい環境を整えるためには、必要に応じて柔軟に働き方を選択できるように、社員のみなさんがそれぞれの働き方について理解を深めていくことも大切でしょう。

 

[自宅利用型テレワーク(在宅勤務)]

自宅利用型テレワーク(在宅勤務)

在宅勤務は、自宅にいながらパソコンなどを活用して会社と連絡をとりながら働くワークスタイルです。

育児・介護や身体障害、あるいはケガなどによって通勤が困難な人にとって、働く機会を確保出来るだけでなく、企業にとってももちろん、優秀な人材と豊富な労働力を確保することができます。

在宅勤務は通勤時間の削減によって時間を効率的に使うことができる反面、ON/OFFの切り替えが難しかったり、長時間労働になりやすいという一面もあります。

 

[モバイルワーク]

モバイルワーク

テレワークの中でも比較的導入が進んでいるのが、モバイルワーク。

モバイルワークとは、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどのモバイル機器を使って、施設や場所を制限されずに仕事をする形態のことを指します。

移動が多い営業職などが、モバイルワークに適していると言われています。資料作成やメールの送受信などの作業は、コワーキングスペースやカフェなど様々な場所で出来るため、わざわざオフィスへ行って作業するよりも移動時間が削減でき、時間を有効活用することができます。

一方、モバイルワークのデメリットとしては、移動中や外出先での業務が多くなるため、正確な労働時間を把握することが難しくなるという点が挙げられます。その他、モバイル機器を社外へ持ち出すことによる盗難や情報漏洩のリスクに対する対応や、社内間のコミュニケーションを意識的に確保することも大切でしょう。

 

[施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)]

施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)

施設利用型テレワークとは、企業の本来の拠点から離れたところに設けられたオフィススペースで働くスタイルです。ICTにより本来の会社と同等の仕事ができ、かつ通勤時間を短縮できます。都市企業は郊外に、地方企業は都心部にサテライトが置かれます。
在宅勤務よりもじっくり集中して仕事ができたり、カフェなどでモバイルワークをする際の情報漏洩のリスクもクリアできる、などのメリットが挙げられます。

 

 

多様なワークスペース

多様なワークスペース

ワークスタイルが多様になっているのを受けてオフィスへ視点を向けてみると、柔軟な働き方を実現するためのワークスペースにも、変化が生まれてきています。

その中にあるのが、コワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルオフィスです。

 

[コワーキングスペース・シェアオフィス]

コワーキングスペース

(写真引用:”WeWork” コワーキングスペースのブームを牽引。世界100都市に500拠点以上を抱えているコワーキングスペースです。)

コワーキングスペースは、モバイルワークなどのワークスペースとして、場所の縛りがない環境で働いている人のためのワークスペースです。2005年頃にサンフランシスコを中心に始まり、日本でも2010年頃からその概念が広がってきました。

設備を共有し、個室ではなく共有スペースで各々が業務を行います。そのため、利用者同士の情報交換が生まれたり、ビジネスチャンスなどの相乗効果も期待できます。WiFi環境や電源の確保もでき、単独でオフィス環境を整えることを思うと、低コストで仕事をするためのインフラが整った環境を確保することが可能です。

その他、個室のワークスペース、法人登記と住所利用、郵便物の受け取り、交流会等、様々な環境が整っている施設もあります。

また、シェアオフィスとは、不特定多数の利用者が、会議室や複合機などの設備機器、住所、郵便の受け取りなどの機能をシェアして利用できるオフィスのことを言います。

こちらも初期投資を大幅に抑えることができ、立地が良いオフィスが多いなどのメリットが挙げられます。

コワーキングスペースとも似ていますが、どちらかと言うとコワーキングスペースの方が利用者同士の交流に重点が置かれています。

 

[レンタルオフィス]

レンタルオフィス

レンタルオフィスは、コワーキングスペースやシェアオフィスと違って個室があることが特徴です。

1人用の個室から10人程度の複数で利用できる部屋があるところもあります。それぞれの設備は施設によって様々ですが、複合機や会議室などを他の会社と共用で利用します。セキュリティが確保されることも大きなメリットと言えるでしょう。

 

 

まとめ

働き方改革は決して簡単なことではありませんが、このように多様な働き方が生まれ、それに伴って多様なワークスペースも広がってきています。

優秀な人材を確保するためにも、多様な働き方の実現に向け、オフィスでは制度と共にハード面も一度見直してみると良いかもしれませんね。

 

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(参考:「pen」2018. No.160)