働きやすいオフィス レイアウト

新しいオフィスへ移転する、あるいは既存のオフィスをリニューアルする際、「働きやすいオフィスレイアウトを実現したい」と考えている経営者や総務担当の方は多いでしょう。

オフィスレイアウトは、単にデスクや会議室を配置するだけでなく、従業員のパフォーマンスやコミュニケーションの質に大きく影響を与えます。特に近年は、オフィスへの出社形態が変化し、多様な働き方をする従業員同士が円滑に業務を進められるように工夫する必要性が高まっています。

本記事では、オフィスレイアウトを働きやすくするためのポイントを5つ紹介し、その後スペース別・規模別の視点で具体例を解説します。また、実際にレイアウトを工夫している企業の事例3選もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

働きやすいオフィスレイアウトにする5つのコツとは?

近年、多様な働き方が求められる中で、オフィスレイアウトへの関心がますます高まっています。

そこで、まずは「働きやすいオフィスレイアウトにする5つのコツ」をご紹介いたします。コミュニケーションと集中のバランス、未来の組織変化への対応など、実は押さえるべきポイントは多岐にわたります。以下では、それぞれの要素を整理して解説しますので、自社オフィスづくりの参考にぜひお役立てください。

①コンセプトを明確にする

まず大事なのが「コンセプト」を明確にすることです。

働きやすいオフィスをつくるためには、まず「どのような職場環境を目指すのか」というコンセプトを明確に設定することが重要です。たとえば「コミュニケーションを活性化させたい」「集中できる環境をつくりたい」「フリーアドレスで柔軟な働き方を推進したい」といった企業目標が定まっていると、具体的なレイアウトの方向性を判断しやすくなります。

コンセプトを設定する際の手順

経営方針や組織ビジョンの整理
経営トップや人事、総務など複数のステークホルダーとともに、組織がどのような方向を目指しているかを再度確認します。

従業員へのヒアリング
オフィスで日々働くのは従業員です。部門や世代によって「集中できる環境がほしい」「打ち合わせスペースを増やしてほしい」など、要望が異なる場合があります。可能であればアンケートなどを活用し、幅広い意見を集約することが大切です。

最終的なコンセプトを明文化
「コミュニケーション重視」「集中とリラックスを両立」など、目指すオフィス像をはっきりと言語化します。具体的な指標(例:ミーティングスペースの拡充度、デスクのレイアウト形式など)も併せて設定すると良いでしょう。

②従業員数に適したオフィス面積にする

従業員が快適かつ効率的に働けるオフィスレイアウトを実現するには、まず従業員数に対して十分なスペースがあるかを確認する必要があります。一般的には「オフィスの床面積に対して1人あたり約10.5㎡が適切」という一定の目安がありますが、業種・業態、座席数の稼働率、フリーアドレスの有無などによって理想的な広さは変化します。

オフィス面積を決定する際のポイント

将来的な従業員数の増減を考慮
近い将来に採用予定が多い場合は、成長分も含めたレイアウトを検討しておく必要があります。一方でリモートワークの浸透により出社率が減少している企業は、想定よりも小規模なオフィスが適切なケースもあります。

働き方の多様化への対応
全員が毎日フルタイムでデスクに座るわけではない場合、フリーアドレスを導入すると一人あたりの専有面積を減らせる可能性があります。ただし、打ち合わせのためのスペースや個室ブースなど、別の用途へのスペース配分が必要になることもあるため、単純に「デスクを減らす」だけで済むわけではありません。

混み合う時間帯のシミュレーション
出社タイミングや部署ごとの繁忙時間によって、社内の人の動きは変化します。休憩時間や打ち合わせが集中しやすい時間帯などを考慮し、動線が重ならないようスペースに余裕を持たせることが大切です。

③限られたスペースの中にどのように設置するか決める

オフィス内の限られたスペースを有効活用するためには、「まず配置したい家具や什器を決めてしまう」のではなく、従業員がどのような動線で動くのかどのような業務を優先したいのかを考えてからレイアウトを決定することが重要です。

従業員が作業をする執務スペースは、一般的には全体の50~60%になるようにするのが適切とされています。その他に役員スペースや共有スペース、通路や廊下などを設定していきましょう。

限られたスペースを有効活用するために、家具の高さや色、素材などを適切に配置し、狭いスペースでも圧迫感が出ないように注意するとよいでしょう。

④従業員の働き方に合わせたゾーニングにする

オフィス全体をゾーニング(空間を目的に応じて区分けする作業)することで、同じ職場の中でも異なる目的や機能を持つエリアを明確に区分できます。ゾーニングには以下のメリットがあります。

業務効率の向上
周囲が話し声でざわざわしている環境では集中が難しい一方、静かすぎる空間ではコミュニケーションが滞るという問題が起きることもあります。ゾーンごとに「執務スペース(集中エリア)」「共有スペース(会議・打ち合わせエリア)」「多目的スペース(リフレッシュエリア)」など用途を決めると、従業員が仕事の内容に合わせた場所を選びやすくなります。

コミュニケーションの活性化
交流やアイデア創出を促進したいチームの近くには、ホワイトボードやモニター付きのブースを設置するなど、コミュニケーションを生み出しやすい環境づくりが可能です。集中エリアを離れた場所に打ち合わせスペースやカフェスペースを設けることで、チーム内外の人々が気軽に集まりやすくなります。

プライバシーやセキュリティの確保
機密情報を扱う部署や、静粛性が求められる業務に従事する部門は、執務室内でもアクセス制限を設けたり個室化したりといった工夫が必要です。ゾーニングによって物理的にエリアを仕切ることで、セキュリティレベルを担保しやすくなります。

⑤働きやすい動線を考慮する

オフィスレイアウトで見落としがちなのが、従業員や来客の動線です。動線とは人が移動する経路のことで、これが複雑になったり、交差しすぎたりしていると非常に効率が悪くなります。特にコピー機やプリンター、文房具など、日常的によく使うものは人のアクセスがしやすい場所に配置する必要があります。

動線計画のポイント

共用設備を中央にまとめる
給湯室、複合機、文房具スペースなどは従業員が共用する設備のため、オフィスの中央や主要通路沿いに配置すると移動距離を短縮できます。

人の往来が多い場所は広めの通路を確保
動線が細いと、行き交う人がスムーズに移動できません。特に執務エリアや会議室前、エレベーターホール周辺などは通路を広めに取る工夫が必要です。メイン通路は1,600mm、デスクの間やメイン通路以外は900㎜を目安にすると良いでしょう。

部門配置にも考慮を
頻繁に連携が必要な部門は近接して配置することで、無駄な移動時間を減らせます。一方で業務内容が大きく異なる部門を無理に近くに配置すると、逆に騒音やセキュリティ面で不便が生じることがあるため、バランスが大切です。

【スペース別】働きやすいオフィスレイアウトのポイントを解説!

オフィスとひと口に言っても、執務スペース・会議スペース・リフレッシュスペースなど、使用目的や利用シーンは多岐にわたります。

実は、それぞれのスペースに合わせてレイアウトを工夫することで、従業員のコミュニケーションや集中力、さらにはモチベーションまでも大きく左右するのです。ここでは、代表的なオフィス内のスペース別に、働きやすいレイアウトを実現するためのポイントをわかりやすく解説していきます。

執務スペースの場合

オフィスのメインスペースともいえる執務スペースは、コミュニケーションの取りやすさやプライバシーを考慮したレイアウトが必要です。ここでは、3つの代表的なレイアウトを紹介します。

対向型レイアウト

特徴: デスクを向かい合わせに配置することで、互いの顔が見えやすく、コミュニケーションが取りやすい

メリット: ちょっとした相談や声かけがしやすいため、チームの一体感が生まれやすい

デメリット: 常に向かい合っているため、プライバシーや集中力を保ちにくい

同向型レイアウト

特徴: 全員が同じ方向を向く形でデスクを配置するスタイル

メリット: 集中しやすく、人によっては周囲の視線をあまり気にしなくて済む

デメリット: 隣同士の会話や相談はまだしも、向かい合っていないぶんコミュニケーションが減りやすい

クロス型レイアウト

特徴: 十字やT字にデスクを配置し、適度に向かい合う人と背を向ける人を混在させる

メリット: 向かい合う席と背を向ける席を組み合わせることで、コミュニケーションとプライバシーのバランスを取りやすい

デメリット: 配置が複雑になるため、スペース効率をしっかりと考慮しないと通路が狭くなったり移動がしにくくなる可能性がある

会議スペースの場合

会議スペースは人数や内容によってレイアウトを決定するとよいでしょう。
ここでは2つのレイアウトを紹介します。

クローズドタイプ

特徴: 完全個室の会議室やミーティングルーム

メリット: プライバシーや情報セキュリティを重視した打ち合わせが可能。周囲の騒音を気にせずに議論できる

デメリット: 個室として区切る分、設置スペースが広く必要。手軽な打ち合わせには向きにくい

オープンタイプ

特徴: パーテーションや家具で軽く仕切った半オープンな打ち合わせスペース

メリット: カジュアルな打ち合わせやアイデア出しに適し、思いついたときにすぐに集まれる

デメリット: 機密情報や騒音に配慮しなければならないケースでは不向き

多目的スペースの場合

全従業員が共有して使うことのできる多目的スペースを有効活用することで、社員のエンゲージメントを高めることができます

リフレッシュスペース

役割: 従業員が休憩や気分転換、気軽なコミュニケーションを行う場所

ポイント: 仕事と切り替えがしやすい雰囲気づくり。カフェスペースのようなテーブルやソファを配置し、自然と人が集まるようにする

多目的スペース

役割: 社内イベントや勉強会、ワークショップなど、さまざまな活動に利用できるフリースペース

ポイント: 空間を仕切る可動式パーテーションやフレキシブルな家具を用意しておくと、レイアウトの変更が容易になり、活用の幅が広がる

【規模別】働きやすいオフィスレイアウトのポイントを解説!

企業の規模によって必要なレイアウトは大きく異なります。ここでは、小規模オフィス・中規模オフィス・大規模オフィスに分けて、それぞれ注意したいポイントをまとめました。

小規模オフィス

限られたスペースを最大限に活用
小規模オフィスではスペースが限られているケースが多いため、多機能な家具や可動式の仕切りを採用すると良いでしょう。一つの部屋を「執務エリア+ミーティングエリア」などに兼用する工夫も有効です。

コミュニケーションとプライバシーのバランス
スタッフ同士の距離が近い分、コミュニケーションは取りやすい一方で、集中力を保ちづらい環境にもなりがちです。パーテーションや背の低い収納棚を巧みに配置することで、視線や音をある程度遮りながら、圧迫感を生まない工夫を施しましょう。

レイアウト変更の柔軟性
企業の成長や採用計画に応じて従業員数が増えた場合、レイアウト変更がしやすいよう家具を可動式やコンパクトなものにしておくと、将来的にリニューアルコストを抑えやすくなります。

中規模オフィス

オープンレイアウトを取り入れる

中規模オフィスでは、部署やチームが複数にわたって存在する一方、十分なオフィス面積が確保できないこともあります。その点、オープンレイアウトを採用すると、個人の作業スペースとコミュニケーションスペースを緩やかに区切りながらも、従業員同士の交流を活性化でき、空間も開放的になります

多目的スペースの活用

執務スペースとは別に、イベントやミーティング、研修など多様な用途に使えるフリースペースを設けると、社内交流やスキルアップの機会が増えます。動線上で利用しやすい場所に配置すると、自然に従業員同士の交流を促進できます

大規模オフィス

的確なゾーニングが必要

従業員の人数が多く、フロアが複数にわたることもある大規模オフィスでは、フロアごとに役割を明確にすることで迷いや混乱を減らせます。たとえば、来客スペースをまとめたフロア、執務スペースが集中しているフロア、会議室を集約したフロアなど、構成を分かりやすくするのがポイントです。

また、小規模・中規模オフィスと比較し、会議室の数にも注意が必要です。

複数の会議が同時に行われることも多いため、用途に合わせて使い分けができる様に複数の会議室を用意しましょう。

従業員の健康やエンゲージメントを高める仕組み

大企業ほど多様な人材が在籍し、テレワークやフレックスなど働き方も幅広いです。
リフレッシュスペースやカフェ、ジムなどを備えることで、従業員満足度を高める工夫が求められます。
また、他部門とのコミュニケーションが積極的に行われるような工夫も必要となってきます。

働きやすいオフィスレイアウトの事例3選

最後に、実際にオフィスレイアウトを工夫している企業の事例を3つご紹介します。

これら3社の事例からは、企業文化やビジョンに合わせたレイアウトの“コンセプトの明確化”と、“コミュニケーション・集中・将来変化への対応”といったポイントを抑えることが、働きやすいオフィスをつくるうえで大いに参考になります。
自社のレイアウト設計の参考にしてみてください。

①石井食品株式会社

コンセプトの明確化
“柔軟性や親しみやすさ”と“挑戦する姿勢や覚悟と自信”を同時に表現するため、アール(曲線)と直線を組み合わせた内装デザインを採用。企業のブランドイメージに合ったコンセプトを空間で分かりやすく表現しています。

空間の統一感
エントランスから執務スペースまで自然なカラーリングでまとめ、来客にも従業員にもやさしい雰囲気を演出。コミュニケーションを重視しながらもプライバシーを守れるレイアウトが参考になります。

詳しくは石井食品株式会社/オフィスデザイン・オフィス移転工事

②株式会社ヴォーエル

中心にコミュニケーションスペースを配置
オフィスの中心に2.4m角の大きな造作テーブルを置き、ちょっとしたミーティングやランチなど多目的に活用できる“ハブ”として機能。必要な部分にスペースを集中させることで人の流れがスムーズになり、コミュニケーション活性化につながっています。

照明デザインとカラーリングの工夫
天井が低いという課題を逆手に取り、照明を連続的に設置することでポイントとなっています。全体を落ち着いたトーンでまとめつつアクセントクロスにコーポレートカラーを採用し、企業イメージを空間の随所に盛り込んでいます

詳しくは株式会社ヴォーエル/オフィスデザイン・オフィス移転工事

③株式会社ヘルメス

ゆとりある執務エリアとゾーニング
今後の増員を見越してゆとりを持たせたデスク配置を採用。集中作業はもちろん、打ち合わせや雑談がしやすいようリフレッシュスペースを併設し、業務内容に合わせて場所を使い分けられるようゾーニングしています。

明るいエントランスによる信頼感の演出
健康食品を扱う企業イメージに合わせ、エントランスを明るく清潔感のあるデザインに。間接照明で陰影を作り、上質さと安心感を表現することで、来訪者にも従業員にも好印象を与える工夫がうかがえます。

詳しくは株式会社ヘルメス/オフィスデザイン・オフィス移転工事

オフィスデザインについてのご相談は株式会社ヴォーエルまで

働きやすいオフィスレイアウトを実現するには、企業のコンセプトや従業員の働き方を深く理解し、限られたスペースを最適に活かすノウハウが欠かせません。とくに近年は柔軟な働き方や感染症対策など、多様な要件を満たすオフィスづくりが求められています

株式会社ヴォーエル では、オフィスデザインのプランニングから設計・施工、家具選定までトータルにサポート可能です。自社オフィスで培ったノウハウや豊富な実績を活かし、クライアント企業の目標に沿ったレイアウトをご提案いたします。

「働きやすいオフィスのレイアウト」は、企業が従業員の生産性や満足度を高め、組織全体のパフォーマンスを向上させるうえで非常に重要なテーマです。
今回ご紹介した5つのコツやスペース別・規模別のポイント、そして事例を参考に、自社オフィスのレイアウトをぜひ見直してみてください。

コンセプト策定や家具配置、動線設計など、ポイントを押さえながら最適なオフィス空間を創り上げることで、今後のビジネス成長に大きく貢献する環境が整うことでしょう。