オフィス移転にかかる期間は?タイムテーブルも紹介
オフィス移転は、会社の業務と並行しながら業者の手配や工事の立ち合いなどを行うため、事前にタイムテーブルがわかると管理がしやすく効率良く作業が進みます。
オフィス移転においては、旧オフィスの退去から新オフィス入居までをあらかじめ決められた期日に合わせたスケジュール調整が必要です。
本記事では、オフィス移転にかかる期間について、タイムテーブルを紹介します。
Index
オフィス移転のメリット
オフィス移転をスタートする場合、まずは移転する目的や問題解決したい内容を考えます。
会社の方針を基に目的を明確にすることで、オフィス移転するメリットに繋がります。
まずは、目的を達成することで得られるメリットについて解説します。
関連記事:オフィス移転のメリット・費用の相場と安く抑える方法
オフィス移転で働き方改革
オフィス移転をきっかけに、テレワークやハイブリッドワークなどを取り入れると、社員の働き方の選択を増やすことができます。
オフィスの他に、コワーキングスペース、サテライトオフィスなど、多様な職場スペースがあれば、社員のやる気や仕事上のストレスも軽減されます。
社員のモチベーション向上
勤務場所や通勤スタイル、ランチのメニュー、オフィスのデザインなど、仕事以外の環境の変化は、社員の新しい発想にも繋がり、モチベーション向上に効果的です。
例えば、眺望の良いオフィスビルに移転して開放感を得たり、設備の整ったオフィスで仕事が捗ったりするなど、社員のやる気やメンタルヘルスに繋がります。
社員同士のコミュニケーション改善
新オフィスのレイアウトを工夫すれば、社員同士が気楽にコミュケーションできるようなオフィス環境に改善することができます。
職場でのストレスや離職率の低下は、社内のコミュニケーション不足から起こるケースも多いです。社内が活性化することで、社員の定着率に繋がっていきます。
企業のイメージアップになる
オフィス移転は、企業のイメージアップに繋がる試みです。受付や応接室など、ゲスト用のスペースを設けることで、企業の新しいイメージを社外へ伝えることができます。
また、移転をきっかけに、会社のホームページやパンフレットをリニューアルすれば、さらに企業の成長に繋がる発信ができます。
ブランディング効果がある
オフィス移転は、企業ブランディングにも繋がります。会社の取引先や顧客、求職者などに新しい会社のイメージを伝えられ、企業のカラーを変えるきっかけにもなります。
移転場所、新オフィスのデザイン、会社名のボードなど、他社との差別化を図ることで、会社の理念や価値観を視覚的にアピールできます。
コスト削減
オフィス規模を縮小して、テレワークと併用した業務形態に移行することで、コスト削減に繋げることができます。
また、複数のオフィスがある会社は、オフィス移転時に、ひとつのオフィスに統合すると賃料やその他経費を削減できます。
オフィス移転の前に決めておくべきこと
オフィス移転は、初期段階で計画を固めておくと、移転が完了するまでがスムーズに進めることができます。
では、オフィス移転の前に決めておくことを確認していきましょう。
移転の目的と方針
まずは、オフィス移転が、会社にとってメリットであることが必要です。メリットを得るためには、オフィス移転の目的が達成するように会社の方針を決めます。
会社の方針とオフィス移転のビジョンを明確して実行することで、移転することがメリットに繋がっていきます。
例えば、社員が増えて旧オフィスのスペースが狭くなったので広いスペースの新オフィスを確保したいという目的に対して、オフィス移転をすることで社員が快適に仕事できるようになり業務効率化に繋がるというメリットが生まれます。
移転の目的をはっきりさせることで、オフィス移転の必要性も明確になり、さらにスケジュールと具体的な作業内容も決めやすくなります。
移転の目的と方針を決めることは、業者に任せることはできない部分です。明確にして業者と打ち合わせする際に伝えやすいようにしておきましょう。
費用
オフィス移転にあたり、どれくらいの費用がかかるのかを想定することが大切です。
【主にかかる費用】
- ・保証金
- ・礼金
- ・仲介手数料
- ・保証会社費用
- ・火災保険費用
- ・新オフィスの内装工事費用
- ・新オフィスへの引っ越し費用
- ・旧オフィスの原状回復工事費用
上記のものが主に発生します。
物件によってそれぞれの費用が大きく異なるため、事前に不動産会社に総額を確認しておきましょう。
特に保証金は最も振れ幅が大きい項目です。
一般住宅の賃貸物件における敷金と同じ扱いのため、退去時には返還されるものですが、物件によっては1ヶ月分の家賃の0〜12ヶ月分と、かなりの金額が必要になります。
スケジュール
オフィス移転では、複数の業者が作業を行うため、各業者と打ち合わせをしてスケジュール調整することが必要です。
また、スケジュールは、大きく2つ分けて旧オフィス、新オフィス、それぞれに必要な作業項目とかかかる日数について考えます。例えば、旧オフィスの解約日と原状回復工事のタイミング、新オフィス移転前の内装工事の工期など、タスク管理を行ってスケジュールを決めます。
また、オフィスをメインとした内装工事業者においても、コンセプト立案・図面作成・内装デザインから工事完了まで一括して任すことができる業者もあります。
オフィス移転のスケジュール管理が難しい場合は、プロに任せた方が、会社側の業務負担が減ります。
立地・レイアウト
移転先の立地条件は、企業ブランディングに関わる要素になるため、候補地をいくつか選んで比較検討しましょう。
会社の顧客や取引先、社員にとってアクセスしやすい場所であることや、集客力のあるエリアであるか、金融機関や役所関係、飲食店・コンビニなどの利便性、地域の都市計画予定など、移転後に関わるポイントを確認することが必要です。
また、同じエリアに同業種の会社が集まると業界の活性化に繋がるという面も考慮しましょう。
物件探しについては、オフィス移転に詳しい不動産業者に相談することをおすすめします。
新オフィスのレイアウトについては、現在の社員数と今後の社員の増員予定、働きやすい環境と必要な面積スペース、企業イメージとなる内装デザイン、通信とインフラ工事の整備など、快適なオフィス環境のために、内装工事、設備工事の範囲を決めます。
内装工事については、オフィス規模に合わせてどこまで行うか内装工事業者に相談すると良いでしょう。
オフィス移転にかかるトータルの期間
オフィス移転の所要期間は、およそ8ヶ月〜9ヶ月くらいが目安です。旧オフィスの解約通告期限の6カ月前に合わせて逆算するとざっくり1年あれば余裕をもって準備できます。
解約通告をしてから物件を決めて、内装工事や引越しなどがスムーズにできれば問題ありませんが、希望通りの物件が見つからなかったり、内装工事の工期が遅れたりすると、うまく進行しない場合もあります。できるだけ余裕のあるスケジュールを立てて1年以内にオフィス移転できるように計画しましょう。
オフィス移転のタイムテーブル
では、具体的にオフィス移転のタイムテーブルを確認しましょう。
どのタイミングで何をすればよいのか期間ごとに解説します。
移転6か月前
オフィス移転のプロジェクトを立ち上げます。移転先の物件探しは、旧オフィスの解約通告日より前にはじめます。
新物件の目途が立ったら、解約通告してオフィス移転に必要な業者選びから始めます。
オフィス移転プロジェクトの立ち上げ
オフィス移転の計画を立てます。移転が企業のメリットに繋がるように、目的や問題解決にふさわしい移転先を探して移転後の企業の成長に繋げます。
プロジェクトの立ち上げ日は、移転完了日から逆算して6ヶ月前にスタートします。
また、プロジェクトのスタート日は、会社の規模によって調整しましょう。特に、大規模な会社の場合は、大掛かりな引っ越しや、新オフィスの内装工事の工期などを考慮して、長くて1年前から準備をはじめると良いでしょう。
現オフィスへの解約通知
移転先の物件を探します。現オフィスの解約通告日の期限が6ヶ月前になりますので、解約通告よりも前にある程度、新物件の目途をつけておいた方がおすすめです。
解約通告してから、物件を探しはじめた場合、もし物件が見つからないとスケジュール遅延のリスクが伴います。
あらためて「賃貸契約書」を見直して解約通告日の期限について、もう一度確認することをおすすめします。
「賃貸契約書」を確認する際は、特約条項、原状回復工事の指定業者の有無。敷金の返金についてもチェックするようにしましょう。
物件探し
不動産業者と打ち合わせをして物件を探します。物件選びのポイントは、賃料、オフィス面積、立地条件、築年数、入居予定日、契約内容などです。
オフィス物件は、一般の物件よりも、条件が多いので余裕を持って早めに探し始めましょう。
また、不動産業者はオフィス物件に特化した会社の方が、物件数が多く見つけやすいメリットがあります。
業者選定
オフィス移転の計画が固まったら、工程作業ごとに必要な業者を選定します。
オフィス移転に必要な業者は、不動産業者、内装工事業者、設備業者、引っ越し業者、各種届出代行業者等です。業者ごとにそれぞれ打ち合わせを行い、スケジュールを決めます。
なお、内装工事、設備工事は、ワンストップで依頼できる業者の方が、窓口がひとつになって交渉や相談、立ち合いがしやすくなるのでおすすめです。
なお、内装工事項目においては、ビル指定業者が工事を行うB工事と、入居者側が依頼した内装業者が工事を行うC工事がありますので注意が必要です。
B工事とC工事の工事区分はビルによってそれぞれ決められているため、ビル管理会社に早めに確認しなければなりません。
関連記事:オフィス移転時の業者の選び方
移転4か月前
業者選びができたら、新オフィスの内装レイアウトの打ち合わせを行い、契約後、工事をスタートします。
不用品は廃棄処分するまでに時間がかかりますので、4ヶ月前をタイミングに対応するようにしましょう。
会社のオフィス家具などの不用品は、自治体の一般廃棄物収集サービスではなく産業廃棄物として処分します。廃棄物処理会社に相談して処分するようにしましょう。
またあるいは、内装工事業者が廃棄処分も一括して請け負ってくれる場合もありますので、相談してみてください。
【産業廃棄物になるオフィス不用品の例】
- ・ロッカー
- ・パーテーション
- ・デスク&チェア
- ・観葉植物などの鉢
レイアウト決め
新オフィスの内装について、業者と打ち合わせしてレイアウトを決めます。
オフィスのレイアウトは、社員やゲストの動線、家具や設備機器の設置場所、応接室やデスクの配置など、使い勝手の良いスペースにデザインする必要があります。
オフィスデザインのプロに相談してアドバイスを受けながら決めると良いでしょう。
備品の検討・手配
旧オフィスで使っていた家具や備品を再利用、または処分するか決めます。これはトータル予算との兼ね合いにもなってくるところです。
内装工事費用にかかる費用と新規家具を購入する費用とのバランスを見ながら、抑えるところでは既存家具を利用し、デザイン的にもメインとなる部分には新規家具を購入するなど、プロの意見も参考にしながら検討してみてください。
また、新規家具を購入する場合には納期の確認も大切です。
オフィス家具の中には、受注生産の商品も少なくありません。工事工程から納品日を確認し、そこから逆算していつまでに発注しなければならないのか、注意しておく必要があります。
工事契約
業者が決まったら契約をします。契約する前に、相見積もりをして比較検討しましょう。
相見積もりの内容を確認する前に、一般的な工事費用の相場を調べてから、各会社のサービスと費用をチェックして適切な業者を選びましょう。
移転2~3か月前
2、3ヶ月前のタイミングでオフィス移転のお知らせ、住所変更に伴う変更、移転挨拶状の作成、各種手続きに必要な準備を始めると、スケジュールに余裕をもって進められるでしょう。
社内外への周知
会社の取引先、顧客、求職者などに、オフィス移転のお知らせをメールやはがきなどで連絡します。
新しくリニューアルする企業イメージを関係各社に発信するタイミングになります。移転のお知らせの挨拶状は、移転する1ヶ月前には準備しておくと良いでしょう。
各種手続き
オフィス移転には、各官庁に届け出が必要です。
届出は会社で行う場合もありますが、一般的には行政書士事務所に書類作成費用を支払って代行してもらうことが多いです。
届出には一定の時間がかかり、役所の混雑によってさらに時間がかかる場合もあります。
【主な各種届出の種類】
- ・消防署:防火対象物使用開始届出書/防火対象物工事等計画届出書
- ・法務局:本店・支店移転登記申請
- ・税務署:異動届出書/給与支払事務所の開設、移転、廃止届出書
- ・都道府県税事務所:事業開始等申告書
- ・労働基準監督署:労働保険名称、所在地等変更届
- ・年金事務所:適用事業所名称・所在地変更届
- ・警察署:車庫証明
住所情報の変更
会社の住所を新オフィス用に変更します。
この機会に、ホームページや会社のパンフレットの情報をリニューアルして企業イメージを高めることも検討すると良いでしょう。
移転1か月前~当日
内装工事、設備工事が施工完了して、引っ越しの準備を始めます。このタイミングで旧オフィスの退去日が近くなるので、原状回復工事を進めます。
引っ越し
手配しておいた引っ越し業者と当日の打ち合わせを行い、安全に搬送できるようにすり合わせをします。
搬送する荷物、不用品リスト、廃棄物リストを作成して引っ越し業者と共有します。
パソコンや精密機器など貴重品を運送する引っ越し業者には、「運送業者貨物賠償責任保険」の加入について確認するようにしましょう。
また、顧客データや個人情報データ等は、移転する前にデータのバックアップは必ず取っておくことをおすすめします。
立ち合い
新オフィスの内装工事の完了を確認して移転日に備えます。旧オフィスの退去日までに原状回復工事を行い、入居前と同じ状態に戻して物件を返却します。
原状回復工事にかかる期間は、目安として100坪未満のテナントで2週間〜1ヶ月程度です。
原状回復工事の内容は、会社の備品や家具を撤去して、室内クリーニングと変更箇所を元通りに回復することです。
なるべく移転期間を短くする方法
それでは、なるべくオフィス移転の期間を短くする方法を説明していきます。
繁忙期を避ける
引っ越し業者の繁忙期は、1〜3月、9〜12月で、この時期は、サービス対応が慌ただしく
料金は高くなる傾向です。
6月から8月くらいになると忙しいピークが過ぎるので、オフィス移転を始めるのにおすすめです。
また、会社の繁忙期についても考慮して移転時期を検討するようにしましょう。
ノウハウ豊富な業者に任せる
各作業を専門のプロに任せた方が、効率良く移転ができます。
業者との交渉や手配の窓口となってくれるオフィス移転コンサルを利用すると、移転のすべてをトータルコーディネイトしてくれます。
会社側は、通常通りの業務をしながら、オフィスを移転することができて、専門家が対応するので時間短縮で作業が進みます。
居抜き・セットアップオフィスの活用
前入居者がそのまま備品や家具を置いたままの物件を借りる「居抜き物件」、内装仕上げが完成している「セットアップオフィス」などがおすすめです。
内装工事が必要ないため、移転までが早く費用も安く済みます。
内装工事がいらないオフィスは、入居までの時間を短縮できて、引っ越しまでがスムーズになります。
家具付きのオフィスであれば、社員一人一人が自分のデスクを確保できるので、通常業務を早めにスタートできます。
オフィス移転時の注意点
オフィス移転は、計画通りにいかない場合もあります。
予定通りに行かないことを想定して、余裕のあるスケジュールを立てましょう。
また、スケジュール管理が難しい場合は、オフィス移転をトータルして請け負ってくれるコンサルタントを依頼するのも方法のひとつです。
会社の社員負担にならないように、専門的な作業は業者に依頼する方がコストバランスは良くなります。
関連記事:オフィス移転コンサルとは?依頼するメリット・デメリットも紹介
しっかりとスケジュールを立ててオフィス移転をしよう
オフィス移転のスケジュールは、旧オフィスの退去日に合わせて短くても6ヶ月前から準備することをおすすめします。6ヶ月間で物件探し、内装工事、引っ越しを行うため、業者と打ち合わせして効率良く進められるようにしましょう。
会社側で対応が難しい場合は、オフィス移転コンサルを利用すると、コストバランスも良く安全で社員に負担がなく作業が進みます。
オフィス移転では、複数の業者のスケジュールを調整する必要がありますので、上手く連携できるようにタイムテーブルを作って対応することをおすすめします。
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