オフィス移転にかかる項目別の見積もり
オフィスを移転するには、どのくらいの予算が必要なのでしょうか。
「会社が今度移転するのですが予算がいくらかかるよ!」という話を聞いて、予算ってどのように決まるのかなと、疑問に思っている方は多いと思います。
思いつくのは、「引っ越し費用」、「新しいオフィスのテナント料」、「新しいオフィスの内装工事費用」、「B工事業者費用(指定業者費用」、「オフィス用品の新調などに必要な費用」、「旧オフィスの現状復旧工事」、「社員に払うお金(新定期の料金など)」です。
実際のオフィス移転には、さまざまな費用がかかります。個人住宅の移転と違って荷物が多くなります。
また、新しいオフィスのレイアウトや内装デザインの計画はとても重要です。そのため、一般的に移転費用はトータルすると、高額になってしまう場合が多いです。
そこで必要なのが、それぞれの項目ごとに見積もりを取って、全体の移転費用を把握することが重要となります。
今回は、オフィス移転にかかる費用、注意点、信頼できる業者の選び方を紹介します。
オフィス移転が加速している背景
人気のある場所で、今までは高い賃料のため借りれなかったオフィスを、借りることができるようになってきています。
東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、供給過剰の目安とされる5%を連続して超えています。
大阪ビジネス地区(梅田 、南森町、 淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪 )のオフィス空室率は、4.28%となっております。
参照URL:https://www.miki-shoji.co.jp/rent/report
大型の新築ビルの竣工が続く中、テナントが移転などで抜けた「2次空室」を抱える既存ビルが増えています。
その結果、次のテナントの誘致に向けて、賃料の引き下げをする既存ビルが多くなっており、会社としてもオフィス移転を検討しやすくなってきています。
また、働く側も個々の事情に応じて、オフィスワークとテレワークなど複数の方法を組み合わせた働き方を選択できるようになってきました。
そのような点からも働きやすい環境を作るため、オフィス移転をする会社が増えてきています。
関連記事:オフィス移転のメリット・費用の相場と安く抑える方法
オフィス移転にかかる費用の見積もりと内訳
一般的にオフィス移転にかかる費用には、次の8つがあります。
【費用】
- ・不動産取得費用
- ・内装工事・設備工事費用
- ・備品購入費
- ・電話・ネットワーク機器の設置費・回線契約料
- ・引っ越し費用
- ・原状回復費用
- ・不用品の処分・廃棄費用
- ・そのほかの費用
順番に費用の見積もりと内訳について、解説していきます。
不動産取得費用
オフィスを購入する場合は、オフィス購入費用のほかに登録免許税と不動産取得税が必要になります。
オフィスを借りる場合は、下記の6つの初期費用が発生します。契約内容によっては、金額が異なってきますので、目安としてください。
敷金
担保としてオーナーに預けるお金です。
家賃滞納があった場合や、退去時の原状回復費用に充当されます。清算後、余った敷金は全額返還されます。
広いオフィス(50坪以上)や、大手デベロッパーのオフィスの場合は、家賃の6〜12か月です。
比較的狭いオフィス(10〜40坪)や、個人オーナーのオフィスの場合は、家賃の3〜6か月です。
また、坪数で金額が決まる場合もあります。
礼金
個人オーナーのオフィスの場合、お礼として渡すお金です。大手デベロッパーのオフィスの場合は、かからないことも多いです。一般的には、家賃の1〜2か月です。
仲介手数料
不動産会社を利用してオフィスを探した場合の手数料です。
上限金額は、家賃の1か月分です。不動産会社によっては、手数料が無いところもあります。
火災保険料
オフィスを借りる場合は、火災保険への加入が義務付けられています。
特定の火災保険が、不動産会社から指定されている場合もあります。独自に探して加入する場合もあります。
火災保険料は、2年契約で2〜3万円です。
前家賃
「入居日から月末まで日割り計算した家賃+翌月分の家賃」が前家賃となります。
保証委託金
賃貸契約で保証会社を利用する場合に発生します。家賃の半月〜1か月です。
内装工事・設備工事費用
内装工事とは、オフィス移転した時など、デザインしたオフィスの内装を施工する工事のことです。
内装工事費用は、1坪5〜20万円が目安です。独自のデザイン設計にした場合などは、追加で費用がかかります。
設備工事とは、主に建物の電気、ガス、通信、防災・消火といった設備をつくる工事です。
設備工事費用は、1坪20〜35万円が目安です。また、設計プラン・デザイン案作成として、1坪1〜3万円の追加費用がかかってしまう場合があります。
これら設備工事はB工事の工事項目となることが多いので、工事区分を事前に確認することが必要です。
(B工事とは、ビル指定業者によって行われる工事です。その工事区分はビルによって異なりますので確認が必要です)
備品購入費
オフィスに必要な備品は、デスクや椅子、キャビネットなどの什器、パソコンやプリンターなどの電子機器、事務用品、緊急時の備品などです。
備品購入費用は、1人5〜30万円が目安です。
電話・ネットワーク機器の設置費・回線契約料
ネットワーク機器や電話機、複合機などの移設・設置にかかる費用は、1坪5〜15万円が目安です。
電気・電話・ネットワーク工事は、1人あたり5〜8万円、OAフロア化の工事にかかる費用は、1坪2〜5万円かかる場合もあります。
たとえばネットワーク工事では、ネットワーク機器を接続するためのポート数で料金が決まります。1ポート2.5〜4万円です。
ネットワーク機器(有線/無線)の提案も含めれば、業者により金額の差がでてくる部分となります。
ICT(情報通信技術)を導入する場合は、システム構築費用が別途かかります。
引っ越し費用
引っ越し費用(運搬費)は、1人あたり2〜5万円が目安です。
年度末や秋口など引っ越しの繁忙期には、料金が上がります。引っ越し費用は、階段や通路の幅、エレベーターの有無、フロア数、荷物の多さなどによって変わります。
現金や美術品、有価証券などは紛失や破損の場合、賠償金が高額になるおそれがあります。その結果、引っ越し業者に依頼できない場合もあります。
引っ越しを業者に依頼する際には、必ず複数社から見積もりを取ることが必要です。
原状回復費用
原則として、賃貸物件を借りた場合、退去するときに、借りた時点と同じ状態に戻す義務があります。
原状回復費用は、ビルの大きさによって金額が異なる傾向にあります。(設備工事の内容が規模の大きさに比例するため)
小型ビルでは1坪3〜6万円です。中型ビルでは1坪6〜9万円です。大型ビルでは1坪9〜15万円です。くらいが目安です。
ただ、原状回復工事に関しては、借りた物件に対して、そもそもどの程度の内装工事を施していたのか(解体工事の金額に差が出ます)、また具体的にどこまで復旧工事が必要か(原状回復条件)等によって、費用は大きく変わってきます。
ビルオーナーや不動産会社に立ち会ってもらい、確認する必要があります。
初期費用として敷金を支払っている場合は、敷金から原状回復費用が支払われます。
不用品の処分・廃棄費用
不要になった什器のうち産業廃棄物については、産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に、運搬・廃棄を依頼する必要があります。
廃棄費用は、2トン車は1台7〜8万円です。4トン車は1台12〜15万円です。当初の廃棄見積もりより多くなり、費用がかかってしまう場合があります。
一方、法律で定められているリサイクル品は、リサイクル業者に買い取ってもらえる可能性があります。
一度リサイクル業者に相談してはどうでしょうか。主な品目は下記の通りです。
【産業廃棄物にあたるもの】
- ・大型家電:エアコン、コピー機、テレビ、パソコン
- ・小型家電:電話、FAX、携帯電話
- ・その他:金属くず、廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くず
廃棄時には情報漏洩を防ぐため、パソコンや機密書類など事前に漏洩対策が必要となります。
そのほかの費用
オフィス移転では、これまで取り上げてきた項目以外にも、さまざまな費用が発生します。
たとえば、住所が変更となるため、名刺やパンフレット、会社案内、封筒などの印刷物は作り直しが発生します。
移転先のビル、フロアへの入場に使用するIDカード・セキュリティカードも必要です。
1人あたり1〜2万円の費用がかかります。
法務局、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所、年金事務所、消防署などの関係機関で住所変更が必要となります。
作業が多岐にわたるため、司法書士に手続きを依頼する場合があります。費用としては、10〜20万円です。
また、あとから計画の漏れがでてくることを想定し、予備費を考えておくと安心です。
オフィス移転を検討する際の注意点
以下がオフィス移転を検討する場合の3つの注意点です。
【注意点】
- ・入念な計画を立てる
- ・新・旧オフィスの広さや間取りを把握しておく
- ・移転時期は慎重に検討する
順番に解説していきます。
入念な計画を立てる
オフィス移転では、まとまった費用が必要になります。予算が膨らみ過ぎないようにするためには、計画的に移転を進めることが大切です。
契約書を確認して解約通知は、いつまでに提出しないといけないか確認します。
その後、オーナーに解約通知をおこないます。
オフィスの規模にもよりますが、最低でも6~8か月前、可能なら1年前から移転スケジュールを計画的に立てることが理想です。
新・旧オフィスの広さや間取りを把握しておく
オフィス移転の費用は、移転先の新オフィスの広さとそこで働く社員の人数をもとに算出します。
1人あたりのオフィスの広さは2〜3坪です。
テレワークの導入でオフィスワークする社員が減る場合は、旧オフィスより小さいオフィスを借りてもよいでしょう。
一方、「将来、業務拡大のため社員を増やす予定がある場合」、「感染症対策でソーシャルディスタンスを確保したい場合」は、旧オフィスより広めのオフィスが必要となります。
移転時期は慎重に検討する
業務を行いながらオフィス移転をするため、自社の繁忙期を外した日程が重要となります。
スケジュール調整が可能な場合は、以下のタイミングがおすすめです。
内装工事業者や引っ越し業者は、6月〜8月は年度末や年末と正反対に、オフィス移転が少ないため閑散期となります。
閑散期は、各業者と契約交渉がしやすいです。その結果、移転にかかる費用を安く抑えることができます。
オフィス移転が集中する年度末や年末は、引っ越し料金が高騰します。
推奨できる移転のタイミングとしては、閑散期を狙ったほうが、費用面だけでなく工事工程のタイミングなどに関しても、柔軟に対応してもらいやすいと言えるかと思います。
【オフィス移転】信頼できる業者の選び方
現オフィスの問題点や課題を整理し、新オフィスに求めるものを、複数の内装業者に提示し見積もり依頼を行います。
その際、オフィス移転や改装をメインに手掛けている内装業者を選んで依頼してください。
見積もり内容に、金額の詳細が記載されていることを確認し内容をチェックします。
このとき注意が必要なのが、「一番安い業者が良いわけではない」ということです。
対応が細やかで信頼できる業者を選びましょう。
関連記事:オフィス移転時の業者の選び方
オフィス移転で迷ったとき
大きく分けて8つのオフィス移転にかかる費用について解説してきました。
その中でも内装工事・設備工事については、業務の効率化も含めいろいろ検討する必要があります。
そこで提案なのですが、それぞれの部署で検討するのも良いですが、デザイン企画会社と施工会社の双方の視点から、お客様の思いを「カタチ」にするヴォーエル(Voiwell)に相談してみてはどうでしょうか。
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監修者
Hori Keiichiro
COO
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