本記事では、効率と快適性を両立させるオフィスレイアウトの基準寸法や通路幅、実用的なレイアウト例について詳しく解説していきます。
従業員一人あたりに必要なスペースや、寸法を考える際の注意点など、気になる疑問にもお答えします。
オフィスの移転をご検討中の方は、ぜひご参考ください。

オフィスレイアウトの基準寸法

まずは、オフィスレイアウトの基準寸法を5つに分けて解説していきます。

  • ・通路幅の基準寸法
  • ・デスク幅の基準寸法
  • ・デスクと壁の通路幅
  • ・デスクと収納庫の通路幅
  • ・デスクとコピー機の通路幅

それぞれご覧ください。

通路幅の基準寸法

オフィス設計時には、通路幅の適正化を重視することが生産性と快適性を高める鍵となります。適切な通路幅が確保されていることで、従業員のストレスを軽減するほか、事故のリスクも軽減できます。
理想的な通路幅は、人の動きを妨げず、同時に安全な作業空間を確保することです。一般的に、成人男性が歩いて通行するためには最低60cmの幅が必要です。すれ違いを考慮して、120cm以上の幅があると良いでしょう。これにより、オフィス内の流動性が高まります。
また、通路幅が広いオフィスでは社内コミュニケーションも活発になるでしょう。

デスク幅の基準寸法

オフィスレイアウトにおけるデスク間の適切な寸法は、働く環境の質を大きく向上させる重要な要素です。業務の効率や快適性に大きく影響します。
理想的なデスク幅寸法は、最低120cmから180cmです。この基準は、社員間のプライバシーを保ちつつ、コミュニケーションを促進するのに重要です。
たとえば、120cmのスペースは、個々の作業エリアを確保し、同時にチームワークを支援するバランスを提供します。
適切な間隔は、ストレスの軽減と集中力の向上に貢献し、結果として全体の生産性を高めることにつながるでしょう。

デスクと壁の通路幅

オフィスの生産性を高めるには、デスクと壁の通路幅の適切な設定が不可欠です。デスクと壁の通路幅を適切に設定することで、作業効率の向上だけでなく、安全性も確保されます。
壁際にデスクを設置する際は120cm以上の通路幅が推奨されています。
先述した通り、通常の歩行には60cm程度の幅が必要です。椅子の可動域や作業スペースなどを考慮すると、さらに大きな幅が必要になるでしょう。
デスクと背面の壁の間には、収納を使用することを考慮して150cm以上の幅が必要です。

デスクと収納庫の通路幅

オフィスの効率と快適性を高めるためには、デスクと収納庫の間の適切な通路幅が重要です。また、業務の効率化と社内コミュニケーションの円滑化にもつながります。
通路幅は、安全な作業環境の確保と業務の円滑化に寄与します。収納庫と座席の間には、最低でも150cmのスペースが推奨されています。この通路幅は、収納庫の扉を開けたり、しゃがんで作業したりする動作スペースを考慮して決定されています。
十分な通路幅を確保することで、作業効率の向上と快適なオフィス環境が実現されます。

デスクとコピー機の通路幅

オフィスレイアウトの重要な要素の一つに「デスクとコピー機の通路幅」があります。
デスクとコピー機の間には、最低でも約110cmのスペースが必要です。これにより、コピー機の使用中でも他の人が通行でき、快適にコピー機を使用できます。
特に頻繁に使用されるエリアでは、利用頻度やオフィス内の移動パターンに応じて余分にスペースを確保することが推奨されます。

従業員一人あたりに必要なスペースとは

従業員一人当たりに必要なスペースは、作業効率と快適性の観点から重要です。
一般的なオフィスデスクのサイズは幅120cm × 奥行70cmで、椅子の可動域を考慮して約2m²の面積が必要です。
また、全体のオフィスフロアでは、厚生労働省の規則により、社員一人当たり最低10m³の空気量が必要で、これは面積にして約4m²に相当します。
効率的なレイアウトには、これらの基準を遵守し、社員の安全と健康を保ちながら、快適な職場環境を構築することが求められます。

オフィスのレイアウト例

ここからは、オフィスのレイアウト例をご紹介します。
実際のオフィスデザイン事例を参照することで、さらに具体的なイメージを把握できるでしょう。ぜひご参考ください。

例①島型レイアウト

「島型レイアウト」は、オフィスデザインにおいて人気の高い選択肢です。
デスクが互いに向き合って配置されることで、部署やチーム単位の協働を促進します。
特に所在が明確であることが求められる部署や、資料や書類を管理する組織に最適です。
メリットとして、チーム内コミュニケーションの促進や、効率的なスペースの利用が挙げられます。
しかし、他部署とのコミュニケーションが限定的になる可能性や、周囲からの視線によるストレスを感じることもあるという点がデメリットとして挙げられるため、注意が必要です。

例②並列式レイアウト

「並列式レイアウト」は、デスクが一列に並んでいるため、空間を最大限に活用しながらも従業員にとって必要な個人スペースを保持できます。
このレイアウトは、プログラマーやライターなど、集中して取り組む職種に最適です。デスク間の適切な距離は、快適さとプライバシーを両立させ、社員の生産性を高められます。
また、直線的な配置は、オフィス内の清掃やメンテナンスを容易にし、全体の整理整頓にも貢献します。
並列式レイアウトは、シンプルながらも効率と機能性を重視する現代のオフィスにおいて、理想的な選択肢の一つと言えるでしょう。

例③背面式レイアウト

「背面式レイアウト」は、プライバシーと集中力を高めるオフィスデザインの傑出した選択です。このレイアウトでは、従業員のデスクが背中合わせに配置されており、各人に個別の作業スペースが提供可能です。
特に、集中を要するタスクや機密性の高い業務に従事する従業員に最適です。
背面式レイアウトは、通路の混雑を減らし、作業効率を上げる一方で、コミュニケーションや協働には別のスペースの設計が必要になります。

例④クラスター式レイアウト

「クラスター式レイアウト」は、デスクと収納を直角に組み合わせる革新的なオフィスレイアウトです。このスタイルは、プライバシーを保ちつつ、オープンなコミュニケーションを促進します。
中央部分に収納棚を設置することで、個々の作業スペースを提供しながらも、チーム間の交流を容易にします。
感染対策としても有効で、集中を必要とする業務に最適なレイアウトと言えるでしょう。ただ、スペース効率があまり良くないため、広さに余裕のあるオフィスで検討されると良いでしょう。

例⑤フリーアドレス式レイアウト

「フリーアドレス式レイアウト」は、従業員が固定の席を持たずに自由に座席を選べるスタイルです。このレイアウトは、チーム間の壁を取り払い、コラボレーションと創造性を促進します。
フリーアドレスは社員のコミュニケーションを活性化して、柔軟な働き方を支援します。このレイアウトはスペースの効率的な利用も寄与し、オフィスの快適性を高められるでしょう。
特に営業職等、常時オフィスで仕事することが少ない職種の場合、実際の人数よりも少ない席数でも支障が無く、その分をリフレッシュスペースや打ち合わせスペース等に充てることができ、スペースをより効率的に利用することができます。

関連記事:フリーアドレスのメリット・デメリットを徹底解説

会議室のレイアウト寸法

会議室のレイアウト寸法は、効率と快適性を両立させる上で重要です。基準に沿ったレイアウトにすることで、社内コミュニケーションの円滑化と業務の効率化に寄与するでしょう。
一般的に座席と壁間は最低100cmを確保し、ホワイトボードとの距離は120cm以上が望ましいです。
座席間は95cm程度を確保すると、快適な会議環境を実現できます。

まずは最大何名で利用する会議室を作りたいのかを決めると、自ずと必要なテーブルのサイズが確定し、会議室の大きさが決まっていきます。オフィスの使い方から考えていくと良いでしょう。

関連記事:会議室のレイアウト7選!快適な会議室の寸法

オフィスレイアウトの寸法を考える際の注意点

ここからは、オフィスレイアウトの寸法を考える際の注意点を解説していきます。
もっとも重要な以下2点を取り上げます。

  • ・法令を遵守する
  • ・転倒防止対策を行う

それぞれ見ていきましょう。

注意点①法令を遵守する

オフィスレイアウトは、大前提として法令を遵守しなければいけません。
建築基準法や労働安全衛生法、消防法など、働く人々の生命と健康を守るための基準を理解し、適用することが不可欠です。
基準寸法を遵守することで、日常の業務効率はもちろん、災害時の安全な避難経路の確保にもつながります。
また、スペースに余裕がないオフィスレイアウトはストレスの原因となり、結果的に職場の生産性に影響を及ぼす可能性があるため、十分な通路幅の確保は重要なポイントです。
オフィスレイアウトを計画する際は、これらの法令に基づいた寸法を意識することが、快適で安全な職場環境の構築に不可欠です。

注意点②転倒防止対策を行う

オフィス内での転倒事故は、思わぬ怪我につながるだけでなく、業務の中断を招く可能性があります。
背の高い家具やパーテーションは、地震などの際に転倒しやすく、壁や床にしっかりと固定することが重要です。パーテーションの種類によっては、連結可能な長さやレイアウトの制限が異なるため、専門業者に相談することを推奨します。
オフィスの安全を確保し、安心して働ける環境を作るためにも、転倒防止対策は不可欠です。

オフィスレイアウトの寸法を考慮するメリット

最後に、オフィスレイアウトの寸法を考慮する2つのメリットを紹介して終わります。

  • ・業務効率化を図れる
  • ・社内のコミュニケーションが円滑になる

それぞれ解説していきます。

業務効率化を図れる

オフィスレイアウトの最適化は業務効率の鍵です。オフィス環境が最適であることは、単に快適性を向上させるだけでなく、ビジネス成果にも大きな影響を与えます。
たとえば、デスク間の適切な配置により、社員間のコミュニケーションが活発化し、チームワークが向上します。
また、個人の作業スペースを十分に確保することで、集中力を高め、生産性を向上させられるでしょう。
適切なレイアウトは作業の流れをスムーズにし、必要なリソースへのアクセスを容易にするため、業務効率化に直接貢献します。

社内のコミュニケーションが円滑になる

オフィスレイアウトの最適化は、社内コミュニケーションの円滑化に大きく貢献します。
適切な寸法を考慮したレイアウトは業務の効率化と社員間のコミュニケーションを改善する重要なポイントです。
とくに、社員同士に極端な距離があると、相談や気軽な雑談がしづらくなるため、適切なレイアウトでこれを解消できます。
また、部署間のレイアウトを見直すことで、会社全体のコミュニケーションが活性化します。
適切なレイアウトにより、社内の関係が良好になり、新しいアイデアが生まれやすい環境を作ることが可能です。
これらの要素を踏まえ、オフィスレイアウトの見直しは、単に物理的な空間の配置を変えること以上の価値を持ちます。

オフィスレイアウトの寸法は上記記述の5種類を念頭に

オフィスレイアウトの寸法は、作業効率と従業員の快適性に直結します。
基準となる通路幅やデスク間のスペースは、日本オフィス家具協会(JOIFA)のガイドラインに基づき設計するとよいでしょう。
また、オフィスレイアウトの種類には対向式、並列式、背面式などがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
適切なレイアウト選択は、業務効率の向上だけでなく、社員の心地よい働き方を実現する鍵となるでしょう。
これらの基準寸法とレイアウト選択は、安全かつ快適なオフィス作りの基本であり、社員のパフォーマンス向上に貢献します。

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大阪のオフィスデザイン・オフィス移転は株式会社ヴォーエル

監修者

Hori Keiichiro

COO

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